奥野滋子「緩和ケア医から、ひとりで死ぬのだって大丈夫」

「病気や障害があっても家にいることで病気は生活の一部になる」という言葉に触発されて、外科医から緩和ケア医に転向した奥野滋子医師。「経済力」と「家族の介護力」があれば望ましい最期が保障されると思われがちですが実際は「濃厚医療」にさらされる危険をはらんでおり、逆に経済的に恵まれていなくても家族がいなくても、「これでよかった」と思える満たされた死を迎えることはできると伝えています。死は誰にでも訪れ、いのちにも医療にも限界があることを知り抜いたうえで、自分だけの最期を迎える「心の力」をもつこと。それをもてれば「ひとりで死ぬのだって大丈夫」と言います。

巻末に「この本で伝えたいこと20」と「病と死に向き合うための書籍」があります。
その中から、ひとつ。

*「人は生きてきたように死んでいく」と聞いて、「ろくな生き方をしてこなかったから孤独な日々を過ごし誰にも知られず寂しい最期を迎えるしかない」と考えてしまう人がいます。しかしその人が自分の人生は幸せだったと感じていたかどうかが大切なのではないでしょうか。地域の人や医療者など血縁以外と関係を結ぶことはおひとりさまにもできます。その人たちとの交流の中に新たな自分を発見して心豊かな人生を送ることも、そして満足して旅立つこともできるのではないでしょうか。

奥野滋子(著)/2021年2月28日発売/朝日新聞出版(680円+税)