タイトルこんなときどうする?
サブタイトル臨床のなかの問い
著者徳永進
出版社岩波書店
ISBN9784000229029
出版年2010/07/31
サイズ単行本
価格2200 円
概要死がすぐそこに存在する臨床現場で長期に仕事を続けるには、きれいごとを並べるだけではうまくいかない。患者が次々に突きつけてくる難題を乗り切るためには、どうしたらよいのか。情のある医療を実践するためにも工夫された非情が必要とされることなどを指摘し、医療の常識を問い直し、医のあり方、人間の生について考察する。仲間としての医療関係者、病苦に苦しむ患者や家族へ贈る洞察と励まし。ホスピスケアを行う有床診療所を独力で開設し奮闘する医師が、36年間の医療実践を通して到達した医の思想を、豊富な具体例とともに語った滋味豊かな医学エッセイ。
目次はじめに

I こんなときどうする?――「野の花診療所」の難渋分類
1 大きな腫瘍
2 大声
3 メモする家族
4 自死
5 キャラ
6 受容の受容
7 アロディニア
8 変わる意志
9 死の場の変更
10 心のう液
11 ディスコミ
12 タバコ
13 「シナシテ」
14 急変
15 心マッサージ
16 訴訟
17 骨依頼
18 宗教

II がんと心――精神科医療の扉
1 人の心
2 がん末期の心の臨床
3 症例から考える
4 不安な表情
5 街と骨と皮
6 食パンとイチゴジャム
7 死の時の心を支えるもの
8 「がんばる」という心境
9 会社へ行くという日常
10 門をくぐること
11 〈わがまま〉の力
12 黄金の水田
13 沙羅双樹の花の色
14 朝に死に,夕に生きる
15 自分に向き合う
16 ボロ家の温かさ
17 顔の侵食
18 知的障害の力
19 冬至の病室
20 死者が守る死
21 日常動作の働き
22 巻き寿司
23 栃モチ
24 道
25 声
26 船
27 自転車
28 「死ぬる」
29 「大丈夫」
30 「自然で」
31 あきらむ
32 いらだち
33 「神話的時間」
34 宇宙内存在
35 「母が迎えに来ます」
36 統合失調症の人とがん
37 ホタル・星
38 静かな死
39 サントリーの角
40 不安と共に
41 体と心と宇宙
42 精神病になる仕組み,ならない仕組み
43 『死刑囚の記録』再読
44 いのちを宿す死
45 土星の図
46 メッセンジャーA
47 35年前の患者さん
48 援軍とは?
49 支え,支えられ
50 安心の伝播,不安の伝播
51 コミュニケーション

III 臨床で哲学と出会う――一人ひとり違う
1 流動する哲学の場
2 キュアとケアの図
3 ○と×の哲学――臨床は刻々と変わる
4 13の和語たち
5 医療と時間

 おわりに