【動画】米国の「終身ケアを提供する退職者コミュニティー(CCRC)」における終末期医療

①RCとCCRCについて
日本は海外に比べて医療と介護に恵まれていますが、その制度は複雑で利用しにくいため、国民の大多数が老後に不安を感じています。一方米国には老後を楽しみながら、健康状態に応じた切れ目のない医療と介護を受け、そこで穏やかに生涯を閉じる共同体(CCRC)があります。米国には医療や介護の施設が付いていない退職者コミュニティ(RC :Retirement Community)と、終身ケアを提供する退職者コミュニティ (CCRC :Continuing Care Retirement Community)がありますので、まずはその説明から始めます。

➁ヒルクレスト(CCRC)の紹介
カリフォルニア州ラ・バーン市にあるCCRCを紹介します。ここは1947年にラ・バーン市民とブレスレン教会が協力して設立し、現在は後楽園球場16倍の敷地に400人が暮らしています。施設の中は健康状態に応じた居住区、フィットネス施設、そして中央管理棟で構成されていて、電動カートで移動できるようになっています。ヒルクレストの入居一時金は2000万~4500万円、月額利用料は約22万円です。ある程度の資産を持つ人でなければ入居は難しいですが、入居後利用料が払えなくなっても、ボランティア資金で賄われるなど、退去に追い込まれることはないそうです。

③CCRCの終末期医療
CCRCに居住する高齢者のほぼ全員がPOLST(生命維持治療のための医師による指示書)を作成していて、ほとんどの人が延命措置は希望せずに、緩和ケアを受けて穏やかに亡くなります。

④CCRC から学んだこと
CCRCには利点と欠点があります。日本政府の有識者会議は、首都圏の医療介護施設の不足に対して、高齢者の地方移住を前提とした2015日本版CCRC構想を2015年に発表しました。都会の高齢者が地方に移り住み、健康状態に応じた継続的なケア環境の下で、自立した社会生活を送ることができるような地域共同体の構築です。しかし、日本にそれが必要でしょうか。まずは、今いる場所で穏やかに最期を迎える方法が模索されるべきと思います。