ご挨拶 東北支部支部長 伊藤 道哉(いとう みちや)

日本尊厳死協会東北支部長を6月に拝命いたしました。プライマリケアの元祖として敬愛する、空也上人(903年 – 972年10月20日)は、市の聖(いちのひじり)として、アスリートのようなしなやかなお姿で、今日に至るまで市民救済の行脚をひと時も止めることがありません。「南無阿弥陀佛」の名号を唱えながら道路・橋・寺院を造るなど社会事業を展開、疫病蔓延の洛中で、幾多の亡骸を荼毘に付し、井戸を掘り、皇服茶(おおぶくちゃ、小梅と結び昆布を入れたお茶)を奨め、公衆衛生の実を上げたのみならず、病魔退散のために「踊躍念佛」を実践、激烈なパフォーマンスは六波羅蜜寺に連綿と伝わっております。

今生から来世に至るまでのマインドフルネス、トータルケアに邁進された空也上人は、千年の時を超えて、コロナ渦巻く東京上野に遠征され、多くの市民に行脚の姿を親しく顕現されました。「南無阿弥陀佛」のお念仏が、視える化して、6体の佛としてお口から、飛び出しております。京都六波羅蜜寺⇔東京東博と、視える化のお姿を何度も拝見するうちに、小生には6体が「尊 厳 生 尊 厳 死」すなわち「尊厳生≡尊厳死」と観えるにいたっております。当協会の大先輩方も、「尊厳ある生の延長上に、尊厳ある死が訪れる」とご教導くださっておいでです。まさしく、生死は一如、尊厳死は尊厳生の完成型ですね。

そこで、今この瞬間の尊厳ある生を全うするために、みなさまおひとりお一人の、独自の愉しみ、密かな愉しみを、「リビング・ウイル」で視える化して、みなで共有しつつ、たとえ、疾病・障害で生きづらさが増そうとも、かけがえのない愉しみが、できるだけ長く続けられるようにいたしませんか。おひとりお一人の、大切な愉しみが、できうる限り長く続けられるよう、あの手この手で、みなで支え合えるように、視える化の方便として、「リビング・ウイル」をご活用いただくことをお勧めいたします。

小生、公衆衛生学の分野で、研究等に従事してまいりました。公衆とは、みなさまおひとりお一人です。衛生とは、まさしく、生を衛ることです。おひとりお一人の、今この瞬間の愉しみが、できうる限り長く続けられるよう、方便を尽くします。幸いに、東北支部の理事は、緩和ケア、総合診療、在宅訪問診療の達人、医療・ケア・福祉の連携に長けたメンバーが勢ぞろいです。どうぞ、どうぞ、お気軽にご相談、ご活用賜りますよう、謹んでお願いを申し上げます。

“人生会議”の時代こそ、「リビング・ウイル」を書きましょう。
東北支部長に再任されたものとして、初心に戻り、東北地域のみなさまと、「リビング・ウイル」の促進活動に努めてまいります。
なぜならば、「リビング・ウイル」には、チカラがあります。人生の最期が変わります。

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