10月18日(日)「第7回東北リビングウイル研究会」が開催されました。
2020年10月18日(日)、仙台市福祉プラザで「第7回東北リビングウイル研究会」が開催されました。コロナ禍にもかかわらず、予想を超す99人が参加。「いまこそ、『在宅医療』」がテーマの基調講演と討論に熱心に耳を傾けました。
基調講演者の清治邦章氏は、仙台市で在宅医療を専門に展開するひかりクリニック院長です。仙台市は全国に先駆けて在宅緩和ケア診療所が展開された地域であり、在宅支援診療所や訪問看護ステーションも全国に先行し実現したところで、在宅死は17.7%と全国平均の13.7%を上回り、いわば全国の10年先を行く地域、と指摘しました。
現在の「在宅医療」は、24時間対応の「訪問看護ステーション」や介護士、ヘルパ―などの多職種で対応する支援体制になっていると説明。わが家で最期まで過ごしたい方は、「在宅医療」を検討していただき、それには自分の意思や希望を家族や医師などに話し理解しあうことが大切、そのための「人生会議(事前指示書)」ではないか、と強調されました。「在宅医療」の利用のコツや、「続いても疲れない程度に、明日終わっても後悔のないように」と、多くの症例体験に基づいて助言されました。
協会のペンダントを見せながら訴え
第2部の討論では、今野はるみ氏が、「ホームホスピスにじいろのいえ」代表として、「在宅医療」の現実の問題点を指摘。それに対応するため、少人数で自分の家にいるように過ごせる民家を「ホームホスピス」として設立した意義を力説。
どのような最期をどこで迎えたいのか、選択肢はいろいろある、と参加者に問いかけました。若林訪問看護ステーション所長の佐藤功子氏は、宮城県と仙台市が、日本の訪問看護ステーションの発祥の地であり、その重責を感じると自己紹介。大勢の看護師で24時間対応の訪問看護を実施していることや、看護師が疼痛緩和の麻薬の管理や逝去後の措置のお世話もできると説明。だから、安心し、信頼して看護師に接していただきたい、大切なことは自分の意思を文書化しておくこと、と指摘されました。
佐々木伊津子氏は、当協会の会員で、元介護士です。賃貸住宅での一人暮らしのため、最期まで自宅で過ごすことは無理かもしれないとの思いを吐露。当協会の会員になることで、自分の終末への意思を家族と話し合うきっかけになったと紹介。協会のペンダントをいつも身に着けていることで安心でき、心が晴れやかになったと、そのペンダントを見せながら、当協会の会員になる心強さを参加者に訴えました。
仙台地域では在宅医療の「受け皿」が整い、会員であることの安心が理解されたのでしょう。会場で直ちに入会された方たちも何人かいました。コロナ禍において、無事に開催できたことが何よりもうれしい「対面」の催しでした。
(支部長 阿見孝雄)