「会員」と「かかりつけ医」にお伝えを

「がんの終末期で在宅医療と介護を受けている患者のQOLについて正しいのはどれか」

 医師になるための必ず合格しなければならない「医師国家試験」の「第111回(2017年)F2」の問題からの紹介です。今、医学教育では、「緩和医療」や「在宅医療」などは「医師国家試験」の必修問題として出題され、最低限理解しておく基本事項として教育されています。そのほか「患者の権利と義務」、「患者の自己決定権」「インフォームド・コンセント」「患者の意向の尊重(患者中心型医療)」、「QOL(患者の生活の質、quality of life)」といった内容が基本的な項目として「医師国家試験」や「看護師国家試験」に出題されています。

さて、これらの事項は、すべて日本尊厳死協会が長年にわたり訴え、主張してきた考えではありませんか。つまり、私たちの「リビング・ウイル」は、今では、医学教育の基本的な内容となっているのです。医療職にとりましては、当たり前の理解、基本姿勢の範疇です。

 そこで、会員の皆様へのお勧めです。普段から診ていただいている「かかりつけ医」の先生方に、「私は尊厳死協会の会員です。この私の希望を尊重していただけませんか」とまずはお伝えしてはいかがでしょうか。医師のみならず看護師に話すのもよいでしょう。あれこれ案ずるより産むが易しです。「公益財団法人」として国から認められた当協会です。会員であることを、今まで以上に好意的に受け止めていただけることは確実です。医療現場は、昔とは違うことを実感なさるでしょう。

それでも、もし万が一、このことで不快な対応を受けたなら「受容協力医師」のリストから、理解のある医師や病院を選ぶこともできます。

 ちなみに、冒頭の設問の答とは、「得られる支援によって変化する」です。「第7回東北リビングウイル研究会」は、「在宅医療」の支援の実際に理解を深めるチャンスです。

支部長 阿見孝雄