LW(リビング・ウイル)のチカラ①

「ポスタ―」
ドキュメンタリー映画で密着取材された
今田かおる東北支部理事(右端)


在宅看取りのドキュメンタリー映画 
「おみおくり~Sending Off~」で取材され

日本尊厳死協会東北支部理事(福島県)
今田かおる

私が原発事故後、福島県で甲状腺検査を始めた2015年、福島の現状を映画に残そうとしていたThomas Ash監督と知り合いました。彼は、在宅緩和ケアに興味を持たれ、私に半年間ほど同行撮影をして、この「おみおくり〜Sending Off~」映画を制作して頂きました。後に、ドイツとイタリアの映画祭でThomas監督はドキュメンタリー部門グランプリを受賞しました。

私自身、在宅看取りでのテーマは「見送る側も、見送られる側も満足してお別れが出来ること」です。

寂しい別れにおいても、何か心に残る事を出来ないかと日々考えています。

昨年末、4年間介護していた母を自宅で看取りました。88歳まで小さな猪苗代町でただひとりの眼科医として頑張ってきた母でした。引退前後の数日間、監督助手の方に、母のDVDを作ってもらいました。この映画撮影の1週間、母は女優にでもなったかのようにとても喜んで、自分の生い立ちや仕事や趣味の話を若い助監督にしていました。父は30年前62歳で突然死したので動画などありません。母のDVD映像は動いている母を見る事が出来るので、私の宝物です。

もうすぐ別れがくる場合、ほとんどの方は口には出しませんが、その事をわかっています。訪問の際、携帯のビデオ録画にして「愛する家族に何か話してください。」と言ってみると思いを伝えてくれる方がいます。それで50人ほどの弔辞を書きましたが、何年かしてご家族と話をした際、それが家族へのグリーフケアになっていたと感じた事があります。

また、町には「臨床仏教師」として傾聴ボランティアをされる僧侶がいます。

「布教はせず、多くを語らず、ただ傾聴」してその思いをまとめてくれます。

今はコロナ禍で出来ませんが、緩和ケア病棟や難病の病棟にも出向いて、傾聴をしています。これらの活動を通して、最期の時は点滴や薬よりも寄り添いが大事だと考えます。

本人も家族も満足したお別れが出来る事、一在宅緩和医としての永遠のテーマです。

「診察」
地元で頼られ、自宅を訪ねて緩和医療を実践
小川医院前の写真
会津磐梯山の麓、猪苗代町の小川医院