川島隆太教授の「認知症予防」 Web講演!全国から視聴者が多数。
そのあらましは……

 “脳トレ”で著名な川島隆太教授のWeb講演が、 11月5日(金)から12月6日(金)まで東北支部のホームページで公開されました。テーマは、「認知症は、予防・改善できる!?」。1カ月間の限定公開にもかかわらず、視聴回数は875回を数え、大好評でした。ご覧いただけなかった方のために、講演のごく簡単な内容をご紹介します。
 「アンチエイジング」との考えは、明らかに間違っています。講演は、この指摘から始まりました。なぜなら、誰もが齢を重ねます。歳をとることを酷いと捉えて、人生に何か良いことが生まれるでしょうか。上手に、賢く齢を重ね、心豊かな人生をお送りいただきたいのです。しかも、私たちの脳の機能は、齢を重ねても発達し、あるいは、代わって活躍する部位が生まれもします。ここに、「認知症」の予防と改善の“鍵”がありました。つまり、東北大学が社会に提唱する「スマート・エイジング」の考えとそのための手法です。このことは、すでに医学的な「エビデンス(証拠)」と、その実証例が示されました。「認知症」予防のための誰もができる簡単な方法も伝授。たとえば、 3426と読まれたら、その逆の数字6243を即答できるか。慣れてきたら、その数字の数を増やしていく。音読も800字程度の文章を、できる限り早く読む。これらを続けるだけで、脳の「前頭前野」の働きが早くなり、脳の体積まで増えてくる、このような嬉しい研究の成果が紹介されました。
 こうした研究知見による「スマート・エイジング」の手法を、「認知症」の予防と改善のために社会で実際にお役に立てる施策はないものか。こうして生まれた一つのアプローチが「学習療法」です。その驚くべき実例が、ビデオ映像で紹介されました。脳出血の後遺症で、9年間をほぼなんの意欲や関心を持たず、施設でボーとしていた方が、計算問題などの脳トレ学習に取り組み、次第に表情が豊かになり、ついには自宅に戻ることまでできた例です。この「学習療法」の成果は、外国でも多数報告されています。研究はさらに進みました。個人の脳の働き具合を簡単に測定できる、新しい “脳トレ”装置も開発されました。お求めやすい価格の新装置の誕生です。さらには、いま問題視されている、高齢者の運転能力の回復・向上のため、テレビ受像機を利用した新システムも開発されました。すでに、社会で実験され、その効果が実証されています。「認知症」にならない、させない。そのための研究と実証例を、さらに深め、進めます。このような今後への決意が、熱く語られました。
 人生の最終章を、幸せに迎える…。そのためには、自宅で過ごし、「認知症」にもならず、寝たきりにならない人生を送ることが大切ではないか。こう、最後に重ねて指摘。そのために、今回のお話が役立てば幸いと、川島教授の会員に向けてのネットを介した特別講演が終わりました。

支部長 阿見孝雄