LW(リビング・ウイル)のチカラ⑧

「人生会議」とは?「リビングウイルノート」の利用を勧めましょう

日本尊厳死協会東北支部 顧問・認定 NPO 法人モルヒネ友の会 理事長
三友堂病院 緩和ケア科医師 加藤佳子

「リビング・ウイル」の普及。私たちが担当した 2017 年 9 月の東北支部山形 大会では、スタッフ全員が「延命治療やめて! 私は尊厳死を望んでいます」 と胸にプリントしたTシャツを着て、尊厳死のリビング・ウイルを訴えました (写真1、2)

写真1.「尊厳死」を訴えるお揃いのTシャツ姿、「東北支部山形大会」のスタッフの皆さん
写真2.加藤佳子支部顧問(現職名)と長尾和宏日本尊厳死協会副理事長

翌年 3 月、厚生労働省も、「もしものとき(死のとき)のため、自らが望む人 生の最終段階における医療・ケアについて前もって考え、家族や周囲の信頼す る人たち、医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組」=『人生会 議』の啓発運動を始め、チラシや動画を配信して普及に力を入れています。

しかし、当院の緩和ケア科を受診する患者さんのほとんどが、「人生会議」 も「リビング・ウイル」も知りませんし、人生の最終段階の過ごし方を具体的に 考えていることもありません。
そこで私は、緩和ケア科外来初診の患者さん に、『リビングウイルノート』(写真3)を提供し、「家族 の人と相談しながら書いて、次回診察の時に持ってきてく ださい」と頼みます。
しかし、今まで「リビング・ウイル」 など考えたことのない人にとってはとても難しいようで、 実際に完成してくる人は 10 人に 1 人もいません。「命にか かわる病気と診断されています。人生の最期をどのように 過ごすかを体力のあるうちに考えることが大切です」と繰 り返し伝えると、少しずつ考え始めてもらえるようです。 最終的には、積極的な延命治療ではなく「痛みや呼吸で苦しむことなく穏やかに逝く」ことを希望する方がほとんどです。

写真3

私たちの緩和ケア科外来では、誰でも参加できる「痛み教室」を開催し、リビング・ウイルや痛みの治療の情報提供を行っています(写真4)。認定 NPO 法 人「モルヒネ友の会」事務局も病院内にあり、“モルヒネの適正使用による痛 み治療”の普及に努めています。

写真4

自らが望む人生の最終段階の医療・ケア、希望が叶う環境が整いつつあります。
日本尊厳死協会の「リビング・ウイル」普及活動がますます重要です。