80歳になった1年前から血液透析を始めました。最初から乗り気ではありませんでしたが、主治医から半年試してみてと言われて1年が過ぎました。
透析の後は体がだるく外出もできず何の楽しみもありません。中止を申し入れたら、肺に水が溜まって息ができなくなり苦しむと言われました。私の辛い思いをスタッフも真剣に聞いてくれず、このままでは尊厳ある死なんて望めません。透析を止めて緩和ケア病棟やホスピスに入院して痛みをとってもらいたいと思います。入院できる所はあるのでしょうか。
(81歳 男性)
現在は血液透析により、生命を維持している状態ですので、中止については患者も家族も医療従事者も簡単には答えが出せないのではないでしょうか。
お試しの様な形で血液透析を開始したために、十分な情報提供がなく、納得できない心理面も中止を希望する一因になっていると思います。
近年、身体への負担を少なくしながら効率的に老廃物を除去する血液透析や、生活スタイルに合わせて自宅や外出先でできる腹膜透析など、腎代替療法医療は進歩しています。
一度始めたら止められないのではなく、他によい方法はないか見直しを含めて検討してもよいと思います。
主治医や看護師などの医療スタッフから十分な情報を提供してもらい、ご自分に適した方法について話し合いを重ね、納得した上で決定することが大切です。
腎不全末期患者の緩和ケアやホスピスへの入院については、
現在の保険上では、ホスピス・緩和ケア病棟の利用対象となる患者さんは、「主として苦痛の緩和を必要とする悪性腫瘍の患者又は後天性免疫不全症候群(エイズ)末期心不全の患者」と定められています。
したがって、残念ながらその他の病気での利用は困難です。
腎不全終末期の患者さんに対しての緩和ケアは、緩和ケア外来や一般医療病棟、訪問診療などで、健康保険などの公的保険制度を用いて提供されています。しかし、必要とされていながらも、診療報酬以外にも様々な考え方があり、希望する全ての患者さんに対して緩和ケアが十分に普及しているとはいえない状況でした。
緩和ケアを望む患者や遺族の強い要望を受けて厚生労働省は、
2026年6月の診療報酬改定で、「末期呼吸器疾患患者及び終末期の腎不全患者等に対する質の高い緩和ケアを評価する観点から、緩和ケアに係る評価の対象に末期呼吸器疾患患者及び終末期の腎不全患者を加えた上で、緩和ケア病棟入院料の包括範囲を見直す」としました。末期腎不全患者が、緩和ケア病棟に入院できるようになるというのです。また、心身の苦痛を訴え緩和ケアチームが診療を行った場合に算定される「緩和ケア診療加算」が外来や訪問診療でも適用されます。
豆知識
2025年9月に「腎不全患者のための緩和ケアガイダンス」を
⽇本緩和医療学会 、⽇本腎臓学会 、⽇本透析医学会の3学会が協働して公表しました。序文に「がん以外の疾患における緩和ケアの普及促進に向けた極めて重要な一歩」と記しています。
「腎不全患者のための緩和ケアガイダンス」(PDF)

