57歳の女性 夫と二人暮らしです。
20代より膠原病。37歳から10年の血液透析を経て母と父から提供されて2度の腎移植をして11年が経過しました。そろそろ、移植した腎臓の機能が低下してきたので透析にもどる可能性があることを主治医から伝えられました。しかし、大動脈弁閉鎖不全もあり手術はできない状態なので、これからの透析に心臓は耐えられないのではと思っています。
この先、透析をしないで、苦しさだけを取ってもらうことを希望しています。夫も同じ考えで、私の思いを受け入れています。
遠方の大学病院を定期的に受診しているので地元にかかりつけ医はいません。
住み慣れた所で私の希望を受け入れてくれる病院を探しています。
長く闘病を続けていますので、ご自分の身体には細心の注意を払い日常生活を送ってきた歳月と思います。その上で腎機能が低下しても透析をしないで、苦しさだけをとってもらいたいとの考えですね。
透析医療は患者さんへの苦痛や負担を緩和する方法などは徐々に進んでいますが、多くの問題を含んでいることは否めません。
腎移植後に、移植した腎臓が必ずしも一生機能し続けてくれるとは限らず、特に親子間で移植された腎臓は徐々に機能を落とすといわれています。
膠原病などの合併症として発症した場合は、同じ腎炎が移植腎に再発することなども報告されています。
透析には血液透析と腹膜透析があります。
従来の血液透析は時間の拘束や合併症などの問題もありますが、近年はオーバーナイト透析や在宅血液透析などによる身体への負担が少ない透析方法もあります。
腹膜透析は通院は月1、2回程度ですので、透析液を交換する時間を確保できれば、就寝中に専用の機械を用いて自動的に透析液を交換する管理システムの導入などで時間の拘束や身体への負担が軽減されるようになりました。
透析を受けず、苦痛の緩和のみを希望する。
そのような選択肢もあります。
しかし、「血液透析をする、しない」の2択ではなく、治療方法が残されていることを考慮した上で、自分が残された時間をどのように過ごしたいのかをよく考え、それを主治医に伝えて相談してみましょう。
繰り返し相談することによって気持ちが揺れ動き変化することもありますが、あなたにとって、最も納得できることを考えるための時間と捉えて大切にしていただきたいと思います。
一人で抱え込まず、遠方の主治医とは別に地元でかかりつけ医を持つと共に、福祉支援制度を把握しておくことは、身近に相談できる所が得られて安心です。
協会の受容医を数件ご案内しますので、受診前に電話で診療状況を確認し受診を検討してはいかがでしょうか。福祉支援制度については、市町村の福祉課か包括支援センターでお問い合わせをしてください。
豆知識
腎臓の働き