母は末期ガンですが病状の告知はしていません。
主治医から、治療手段がないので苦痛軽減の緩和ケアを勧められ、対症療法のみ行なっていました。しかし、母は一向に治療の成果のないことに苛立ち病院への不信感が増してきたので、在宅緩和ケア医を選択して今は自宅で過ごしています。
診断された時に「延命治療拒否は家族で決めてよい」と主治医から言われたので、子どもたちで話し合い拒否の旨を伝えています。在宅医にも同様に伝えています。
点滴を減らすことも、薬も、すすめて飲む流動食も、母が要らないならと言うなら無理強いしないと考えてその様にしていました。しかし、これらのことは母が決めたことでは無く子どもの私達で決めたことです。子どもとして自然な死を迎えて欲しいと思うのは罪ですか。私は、これは殺人に当たるのではないかという恐怖が頭から離れません。
末期ガンで治療手段がないのですから対応は間違っていないと思います。ただ、病名告知がなされておらず「ただ一人、本人だけが事実を知らされていない」という不備があります。病状を知らせないで療養している事情はなぜでしょうか?
お母様に「嘘をついている」というやましさが心に影響して、穏やかに看取れない因子になっているかもしれません。病名を告知していないことで、本当の会話ができない辛さ、かわいそうという気持ちが心を不安定にしているのではないでしょうか。
最期の点滴を減らしながら中止することは、日本緩和医療学会のガイドラインでは、点滴を減らすことで痰が減って体への負担が少なくなるなど、利点が多く示されていています。
お母様の思いを最優先しながら、大切な時間を皆さんで穏やかに過ごすことが何より大切ではないでしょうか。そのためには病状を告知することが必要です。
今の段階では、ご家族で伝えることは荷が重いと思いますので、在宅緩和ケアに慣れた在宅医療チームにご相談してください。
一人で背負わず、関わってくださる方々と相談しながら心の荷を下ろす事をお勧めします
豆知識
日本緩和医療学会 『終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン』https://www.jspm.ne.jp/files/guideline/glhyd2013.pdf
病状に応じた点滴の方法を示しています。