103歳祖母のペースメーカー電池交換

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103歳になる祖母は、脚を骨折してから車椅子生活となり介護施設で暮らしています。

昨日、ペースメーカーの電池交換の時期が近づいてきたので、診察に行きました。

祖母は診察時にペースメーカーを外してくれと言いましたが、医師から「ダメ、電池も交換しないといけない」と言われました。以前から、「もうこれ以上長生きしたくない、ペースメーカーを外してくれ」と家族や施設の職員に訴えています。協会の会員で延命治療は以前から望んでいません。本人の気持ちを考えると、電池を交換しない選択肢もあるのではないかと家族として思い悩んでいます。

電池を交換しないとどうなりますか。

心臓の拍動がすべてペースメーカーに依存している場合は、電池が消耗した時点で心拍動の停止し死に至る可能性があります。

しかし、通常の場合は、自己心拍は保存されていて、ペースメーカは補助的に作動していることがあります。また、寝たきりの状態では身体の需要も低下している場合は、心拍数を補助する必要性も小さくなっていることが多く電池の消耗も少なくなります。

電池交換をしない選択肢はあるでしょうか。

電池交換は短時間で安全に行われますが、お祖母様は103歳と高齢ですので交換に伴うリスクがないとは言い切れません。

ペースメーカーの「装置を外す」「電池を交換しない」ことは基本的な違いがあります。これらの意味を、ご本人が正確に理解して判断することができるかどうかが前提になります。

ペースメーカーを外すとどうなりますか。

自発心拍数がなければ、そのまま心停止につながる可能性があります。

そのために、大抵の医師は外すことを拒否すると思います。しかし、装置を外すことがご本人の明確な意思であると確認できた時は、臨床倫理委員会を開いてこれからの方針についてチームで検討します。

祖母の気持ちを尊重するためにはどうしたらよいでしょうか。

何よりも、ご本人のLWを尊重することが大切ですが、生命の維持装置をどうするかは難しい問題です。ご本人とご家族、担当医、そして施設職員などと、繰り返し話し合いを重ねてよりよい選択をすることが大切になります。

豆知識

ペースメーカーは、内蔵されている電池によって動いています。ペースメーカーの電池は作動状況や必要な出力によって大きな個人差がありますが、平均7~10年で交換時期となります。電池が切れてしまうと、ペースメーカーは作動を停止するため、ペースメーカー植込み前の状況に戻り、徐脈性不整脈や心不全をきたし、めまい・意識消失・失神の発作が出現する危険性があります。従って、電池が切れる前に、ペースメーカーのチェックにて、交換が必要な指標を認めると交換手術が必要となります。

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