若いころから登山を楽しんできました。70歳を過ぎてからは低山や里山歩きになりましたが、最近は階段の昇降時や重い荷物を持った時に膝が痛み整形外科を受診しました。レントゲン検査で半月板損傷と変形性膝関節症と診断されました。診察のたびに水を抜き、湿布、痛み止めの注射で様子みています。半年ほど通院していますが良くならず痛みのために出来ないことが増えてきています。かかりつけ医はレントゲン検査をみる限りひどくないので手術の必要はなく「年を取るとみんな我慢している」と言います。しかし、諦めずに自分の足で出来る限り歩いて残りの人生を楽しみたいと思います。近頃は人工関節などの治療法も進歩していると聞きますので、積極的な治療を試してみたいと考えていますが無理でしょうか。
(75歳 女性)
若い頃から登山を楽しみ心身ともに健康を育まれていたのですね。
自分の足で歩くことは行動半径が広がり「QOL:生活の質」を高めます。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨や半月板が傷み、軟骨の下にある骨同士が直接ぶつかり合い関節の変形が進む病気です。
問診や触診などで膝内側の圧痛の有無、関節の動きの範囲、腫れなどを調べ、必要によりMRI検査などをし診断します。
治療法は、手術を必要としない保存療法と手術療法の2つがあります。
保存療法は、運動療法や薬物療法を用いて症状を緩和する方法で、保存療法を2〜3ヶ月試しても改善しない場合、または膝の痛みや変形が悪化している場合は、手術療法が必要になることがあります。関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。
痛みは他人にはなかなか理解されにくく、心無い言葉に傷つき治療を中断しがちになります。そして、痛みによって外出などから遠ざかると、筋力の低下によって一層症状を悪化させてしまいますので、納得できる医療を選択することをお勧めします。
受診先としては、登山による病状ですので膝関節の専門医(認定スポーツ医)をご案内します。かかりつけ医にその旨を伝えることに躊躇するかもしれませんが、新たな楽しみに繋がりますので一歩踏み出してみましょう。
できれば、今までの検査のデータと紹介状を書いていただくとよいでしょう。
受診時には、いつから、どのような痛みで、痛みで出来なくなったことなど、大事な事はあらかじめメモにしておき、自分の言葉でわかりやすく伝えるとよいでしょう。
また、医師とのよりよい関係づくりは治療を受けるうえで重要な要素の一つです。分からないことは遠慮なく尋ねてください。
豆知識
整形外科専門医
https://www.joa.or.jp/public/speciality_search/index.html
運動器疾患全般に関して、早期診断、保存的および手術的治療ならびにリハビリテーション治療などを実行できる能力を備え、運動器疾患に関する良質かつ安全で心のこもった医療を提供することに努めている。運動器の疾患で診断・治療を受けたい、あるいは運動器の疾患の治療の相談をしたいが、どこに整形外科の専門医がいるのか分からない、そのような時、この検索ページをご利用ください。
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