心臓弁膜症手術を拒否したい

相談内容

84歳 女性
かかりつけ医に心雑音を指摘され検査したところ、心臓弁膜症の疑いで手術を勧められました。軽い息切れなどは時に感じますが、日常生活に支障はないので手術はしたくないと医師に伝えたところ、医師から「拒否はわがまま」と怒られて気持ちが萎縮して何も言えなくなりました。
「手術をして少しでも長生きして欲しい」という夫の気持ちを受け入れて、心臓専門病院を受診しました。カテーテル検査を勧められ予約してきました。
昨日、カテーテル検査について担当看護師から説明の電話があった時に、気持ちを伝え協会会員であることも伝えました。看護師は理解し主治医に伝えてくれることになっています。私は、仮に検査の結果がどうであっても、手術はしないでこのまま自然に任せていきたいのです。しかし、痛みなどで苦しむのは避けたいと思っています。できれば検査も受けたくありません。
「拒否はわがまま」なのでしょうか。

最近は、高齢者の体力や医療技術の向上で、身体への負担が少ない形で手術が行われる傾向にあります。
しかし、個人差が大きく、全てにあてはまるわけではなく薬などで経過をみていくこともあります。多少の息切れ程度で手術をしたくない気持ちも非常によく分かりますが、弁膜症と一言に言っても、どの弁か、また狭窄症か閉鎖不全症かで対応は違ってきます。
主治医の立場からすると、悪化してからではなく、まだ体力もあり危険性の少ない、適切なタイミングで手術を行いたいという意図があるのかもしれません。
検査に先駆けて担当の看護師から説明の折に、協会の会員と伝え理解していただいたようですが、まだ決めかねているようでしたら、もう一度、検査や手術はどのようなことをするのか、辛さはないのか、危険性はないのかなど、疑問に思っていることをもう一度伺ってみましょう。ご自分が納得できる選択をすることが大切です。なによりも、ご家族、特にご主人とは、十分な話合いを重ねて意思の疎通を図っておくとよいでしょう。

高齢者の中には、積極的な治療を望まない方が少なからずいらっしゃいます。
手術イコール即、延命治療と考えるのではなく、治療法を理解し納得し、慎重に決めることが大切です。
手術をしないことを選択して病状が悪化して心不全になった時は、入退院を繰り返すことも出てきます。
どうしても入院したくない、最期は自宅で迎えたいと考えた時は、緩和ケア訪問医にお願いして、地域の医療チームで支えてもらうとよいでしょう。
緩和ケアを適切におこなえば、ある程度の呼吸苦等の症状は抑制しながら、最期を過ごすことも可能と考えられます。
訪問医療や在宅介護に関わるサービスなどは、お住まいの包括支援センターでご相談ください。

高齢者の心臓弁膜症

高齢者の心臓弁膜症の多くは、加齢に伴う弁の変性や石灰化による病気といわれています。心臓弁膜症は内服薬で症状は抑えることはできますが、進行を遅らせたり自然に治ることはありません。進行すると心不全を起こす可能性もあります。定期的な検診で病気を早期に発見し、重症化する前に適切なタイミングで治療をすることが、心不全の予防や増悪の防止において大切です。

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