90歳代の方々からのリアルな声

「人生100年時代」と言われ、90歳を超える方々からの相談が多くなりました。高齢になると、心身の不調に逆らうことはできませんが、折り合いをつけながら、できるだけ自立した生活を続けていきたいと願い、新たな試みを模索している方々をご紹介します。

【相談】事例1 「かかりつけ医がいなくて心配」

90歳になるが、これまで大病もなく一人暮らしをしてきた。
近くに娘が暮らしているので安心だが、最近は体力の衰えだけではなく、気持ちも弱くなってきていると感じる。かかりつけ医もなく過ごしてきたが、何かあった時のことを考えると心配。近くにクリニックはいくつかあるが、受診すると不要な治療をされるのではないかと思い受診をためらっている。
安心して暮らせる方法はないか。

(90歳 女性)

【回答】「近くの受容医をご案内いたします」

これまでは、心身の変化に対してご自分で上手に対応してきたのですね。今までとは異なる90代を過ごすための備えとして、かかりつけ医を持つことは大切と思います。お近くの尊厳死協会の受容協力医師をご案内致しますので、一度受診してご相談ください。また、これからの過ごし方に変化が生じた時は、地域との関わりも大切になってきます。「お年寄り相談室」や「地域包括支援センター」でご相談することをお勧めします。


豆知識
『受容協力医』
協会の会員さまを看取り、そのご遺族さまから高い評価を受けた方に登録のお願いをし、引き受けてくれた医師です。
その他、協会の趣旨に賛同し自ら登録を希望された医師や、地域で往診率や看取り率、患者からのコメントなどを評価し、評判の高い医師に協会の理念を説明して賛同していただいた医師が登録されています。
お看取りをする、しないに関わらず、患者が提示するリビング・ウイルを受け入れ、患者の想いを尊重し、患者やご家族に寄り添う医療やアドバイスを提供しています。


【相談】事例2  「通院が不安になってきた」

今までは早足を自負していたが、90歳を迎えてからは、杖をついてゆっくりとしか歩けなくなった。整形外科へは、毎日のようにマッサージに通院し医師もよくしてくれるので気に入っている。片道15分ほどの道のりは、商店街で買い物をしたり、知り合いに会えば少しおしゃべりができるので楽しい道のり。最近は、一人での通院が不安になってきた。

(90歳 女性)

【回答】「通院サポート制度などの利用の検討を」

ゆっくりですが杖をついて通う道のりは、心身ともにリラックスできる場所になっているようですね。できるだけ現状を維持していくためにも、今まで通り、楽しみながらお出かけすることをお勧めします。自治体によっては、ボランティアなどによる通院サポート制度を設けている所があります。市の福祉課にお問い合わせをしてはいかがでしょうか。


豆知識
『通院サポートサービス』
日常生活を送るうえで困っていることがある方が、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域のご協力いただける方と利用される方の相互の理解と協力のもと、ちょっとしたお手伝いを提供するサービスです。


【相談】事例3  「白内障の手術を勧められた」

家族が、まだ起きてこない早朝に、お茶を飲みながらゆっくり新聞を読む時間を何よりの楽しみにしている。しかし、最近は字が読みづらくなってきた。近くの比較的大きな眼科専門病院で白内障の手術を勧められた。数日の入院や、手術の失敗など考えると迷う。           

(96歳 女性)

【回答】「不安なことは医師に説明を」

近年は、高齢者に対して白内障の手術が多く行われるようになりました。手術に耐える体力があると判断されたと考えられます。高齢者に対しては、体調の変化に備えて、手術後は数日入院して経過観察を行なう病院が多いです。不安なことは、再度医師に説明をしてもらい、納得してから受けることをお勧めします。


豆知識
『白内障』
白内障は、透明だった水晶体が白く濁って視力が低下してくる眼の病気です。 水晶体が濁る原因はいくつかありますが、その大半は加齢が原因です。
そのため、一定の年齢になると誰にでも現れる眼の病気です。
濁ってしまった水晶体を透明に戻す薬はないため、治療法は手術しかありません

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