80歳代の男性です。膀胱がんステージ4で、現在、抗がん剤UFTを服用しています。副作用は全身倦怠感と食欲不振、下痢で、口内炎などはありません。薬効については2ヶ月後にCTで確認予定ですが、切れる時期がくると思います。その時点で新たな抗がん剤治療を開始すべきかどうか悩んでいます。基礎疾患としてホルモン代謝機能低下症と腎機能の低下があり、肺への転移も確認されています。このような状態での新たな抗がん剤治療は、がんへの効果よりも副作用による多臓器への影響が多いのではないかと想像しています。
膀胱がんステージ4に対する一次治療に用いる一般的な薬剤は、腎毒性が強く、腎機能低下時には使用はできません。そこでたどり着いたのがUFTではないかと推測します。
現在、UFTの副作用は、全身倦怠感と食欲不振で、ご本人も許容できる範囲であれば続けてよいと思います。しかし、その効果が薄いものであれば、中止するのが得策かと思います。
抗がん剤の中止が今なのか、もう少しだけ他の薬を試すのかの選択になります。どちらを選んでも悔いが残る可能性は高いと思いますが、
以下の4パターンで検討してはいかがでしょうか。
◎延命など効果あり、辛い副作用なし
△延命など効果あり、辛い副作用あり
✖️延命など効果なし、辛い副作用なし
✖️✖️延命など効果なし、辛い副作用あり
この、どの枠に入る可能性が高いか、率直に担当医の意見を聞いて、どの枠に入っても治療しない選択の方が後悔する場合は、リスク覚悟で、残された時間と体力を次の治療に注ぎ込む決断をするのがよいと思います。
しかし、回復の見込みがない、全身倦怠や食欲不振を引き起こすだけの治療であれば、中止するのが賢明かもしれません。
腎機能低下対応と緩和医療を中心に考えるとよいと思います。
体力のあるうちにリビング・ウイルを基に「人生会議」を行って、やり残していることを整理するなどに時間を多く使うほうがよいのではないでしょうか。
がん治療のやめどきを考えると同時に、緩和医療や人生最終段階の医療についての情報を得ておくことも大切です。
いくつも病気を抱えた高齢者は、それぞれの専門の医師から医療を受けるのではなく、いろいろ相談できる近所のかかりつけ医の検討をお勧めします。
(顧問医のアドバイスをお借りしてお答えしました)
豆知識
膀胱がんの主な症状
血尿や頻尿、排尿時の痛み、尿が残る感じ、切迫した尿意などです。
血尿は、尿の色が赤や茶色になり目で見てわかる血尿と、顕微鏡で確認できる血尿があります。がんが進行すると、尿が出にくくなったり、わき腹や腰、背中が痛んだり、足がむくんだりすることもあります。