望む医療を選択するために

患者が望む医療を選択するために 「病気になったら病院に行って治してもらう」 という医師任せの医療から、近ごろは「患者主体の医 療」へと変化してきています。
それは、患者側にも 治療目的を明確にし、選択していくことが求められます。
しかし、治療法などを提示され「あなたが決めてください」と言われても、専門的な医療知識を持ち合わせていないと、どうしてよいか途 方に暮れてしまいます。
そのような事例の紹介と共に、受診に際して医療従事者とコミュニケーションを築いていくためのポイントをお伝えします。

事例

  • 10年前から心臓にステントを入れバイアスピリンを服用しているが、今回担当医が変わり新しい薬ができたのでと変えるという。自分としては、いままで順調にきていて副作用もないので今のままがよいと伝えたい。
    (84歳 男性)
  • 骨髄異形成症候群の疑いで入院中の87歳の夫は2度目の骨髄検査を勧められている。衰弱と高熱で意識がもうろうとして判断できず私に判断を求められている。病態と余命判断目的と言われ家族で相談して決めることにしたが、衰弱した体に負担が大きいのではないかと検査を迷う。
    (82歳 女性)
  • 尿管結石で手術予定だが、執刀医とコミュニケーションが上手く取れない。若い医師なので質問したいことや、不安に思うことをどの程度聞いてよいのか分からず困っている。                                 (78歳 女性)
  • 市の健康診断で左乳がんを指摘された。詳しい検査をしステージ2でリンパ腺への転移はなく手術を勧められている。しかし、高齢なので手術をしない選択肢もあるのではないかと迷う。                            (83歳 女性)

【受診に際してのポイント】

  1. 伝えたいことは、具体的に分かりやすく自分の言葉で伝える。
    「いつから」「どこが」「どの様な症状か」など、受診前に予めメモしておきましょう。
  2. 医師から伝えられた大切な事はメモ。
    その場では理解したつもりでも、理解が 曖昧なこともあります。
  3. 検査、治療は納得してから決める。
    その場で決めなくてもよいのです。一旦持ち帰り、専門相談窓口やまわりの人たちにも相談しましょう。
  4. 納得できない事は何度でも質問。
    「失礼になるのでは」「診てもらえなくなる」 そのようなことはありません。
    後々、悔やむことがないようにするためには大切なことです。
  5. 医療従事者とよりよい関係づくりは大切。
    何度でも会話を重ねて、お互いを理解し尊重することで良好なコミュニケーションを築くことが出来ます。
  6. 専門相談窓口やセカンドオピニオンの利用
    不安や疑問に対して、解決に役立つアドバイスや情報を提供します
  7. 治療を受けるのはあなた自身。
    医療従事者や、家族間で話し合いを何度でも繰り返し(ACP、人生会議)、方向性を明快にすることで、納得できる医療を選択することが可能になります。  
    話すことで、自分の頭の中を再整理することができます。たくさんの人たちの力を借りながら、よりよい医療を選択しましょう。

豆知識

がんの専門相談窓口
国立がん研究センターが運営する公式サイトです。
がんと診断されて、これからの治療や生活など、誰に相談したらよいのか、どのように調べたらよいのか、分からないときにご利用ください。
全国にある、どなたでも無料・匿名で利用できるがんに関する相談窓口です
https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/support_center/guide.html

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