認知症の食事拒否

相談内容

92歳の夫は、1年前から認知症の兆候が見え始めました。自宅での生活が厳しくなり、半年前から有料老人ホームに入所しています。

数日前から、食事を一切摂らなくなったとホームから連絡がありました。これまでは部分的な介助で問題なく食べていました。身体的に重篤な病気はないようですが認知症は進んでいます。夫は協会の会員で延命治療は望んでいませんが、点滴等をしてよいものか迷っています。

認知症の方の摂食不良はしばしば見られます。食べない原因は、認知症の症状のよるもの以外にも身体的要因などもあり様々です。

食べない原因として以下の事柄を確認してみましょう。

  1. 言葉で意思を伝えられない。
    認知症になると、言葉でうまく伝えられないことも多くなります。
    体調が悪くて食欲がなかったり、口の中が痛くて食べられなかったり、排便が滞っていても、それを訴えることができないこともあります。
  2. 抑うつなどにより食欲がわかない。
    気分が落ち込む抑うつ状態によっても食欲は減退します。
    何事にも無気力、無関心になり食べる意欲も失われてきます。食事にも興味を示さなくなる傾向が見られます。
  3. 薬物の影響はないか。
    薬の影響もあります。ボーっとしていないか、食事の時間になると眠くなっていないか、味覚が変わってないか。主治医と相談して薬の見直しが必要になります。
  4. 食事を食べ物として認識しているか。
    認知症が進むと、目の前にある食事を食べ物として認識できなくなることがあり、興味を示さなくなります。

【豆知識】

認知症になると、認知機能の低下によって食事量の減少や食べなくなってしまったり、食事以外の物を食べようとしてしまったり、食事をしたことを忘れてしまうことがあります。そのために、必要な栄養やカロリーが取れず衰弱したり、病気になったりする場合があります。

バランスのよい食品と、必要なカロリーを摂り健康を維持することが大切です。

そのためには、介護する人は、一人ひとりの個性を尊重し安心して食事ができるような食事環境を整えましょう。

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