嚥下訓練のために胃ろうをつけることへの迷い

相 談

2週間前に脳梗塞となり、軽い右半身麻痺と、食べ物の飲み込みがうまくできなくなり、むせやすくなりました。早期リハビリで日常生活に戻ることができると説明され、リハビリ専門病院へ転院をすることになりました。

転院の前に、誤嚥性肺炎予防と、嚥下訓練をスムーズにするために胃ろうをつけることを勧められました。

しかし、今後、新たな脳梗塞などで病状が悪化した時に、胃ろうを外せなくなることを恐れています。最後まで自分らしく生きたいので拒否したいと思いますが、リハビリに支障をきたすのではないかと心配です。 

75歳 男性

回 答

これからリハビリ専門病院に転院し、日常生活を取り戻すことを目指しているのですね。一方で、胃ろうを造設すると、将来、病状が悪化したときに外せなくなり、自分が望まない形で生き続けることになるのではないかと不安なのですね。

脳梗塞を発症した後の早期リハビリは、機能の回復を目指すうえで大切な時期です。しかし、どの程度回復するか、どのくらいの期間で回復するかには個人差があります。そのため、今後の回復の様子を見ながら、慎重に判断していくことが大切です。特に、食べ物や唾液が気管に入る誤嚥を繰り返すと、誤嚥性肺炎を引き起こす危険性があるため、注意が必要です。

胃ろうは、必要な栄養や水分を確保するための方法の一つです。口から安全に食べられるようになることを目指してリハビリを進めるためにも、十分な栄養状態を保つことが大切です。栄養が不足して体力が低下すると、リハビリを十分に行えなくなる可能性もあるため、回復を支える目的で胃ろうを勧められることがあります。

胃ろうを造設したからといって、必ずしも一生使い続けなければならないわけではありません。嚥下機能が回復し、口から十分な栄養や水分を安全に摂取できるようになれば、胃ろうを外すことも可能です。ただし、実際に外せるかどうかは、嚥下機能の回復状況や全身状態などを踏まえて判断する必要があります。

今はリハビリに取り組み、少しでも回復して自分らしい生活を取り戻したい。その一方で、将来、再び脳梗塞を起こしたり、別の病気によって回復が難しくなったりしたときに、自分が望まない形で胃ろうによる栄養補給が続けられ、延命されることは避けたい。そうしたお気持ちがあるのですね。

大切なのは、今の脳梗塞からの回復を目指すことと、将来、回復が難しくなったときにどのような医療を望むかということを、分けて考えることではないでしょうか。

今すぐに、どちらか一方を選ばなければならないわけではありません。現在の病状や嚥下機能の回復の見込みについて医療チームから説明を受けながら、ご自身の希望も踏まえて、納得できる方法を一緒に考えていくことが大切です。

例えば、次のように伝えてみてはいかがでしょうか。

「私は、今は脳梗塞からの回復を目指して、リハビリを頑張りたいと思っています。ただ、将来、回復の見込みがなくなったときに、自分が望まない形で胃ろうによる栄養補給が続けられることは不安です」

ご自身がどのように生きたいのか、どのような医療を望むのかという意思は、これからの治療方針を考えるうえで大切なものです。胃ろうを造設するかどうかだけでなく、将来、意思を伝えることが難しくなった場合に備えて、ご自身の希望を家族や医療チームと共有しておくこともできます。

 一人で悩みを抱え込まず、ご自身の思いを医療チームに伝えながら、納得できる選択を一緒に探すことをお勧めします。

豆知識

嚥下障害のリハビリテーション(基礎訓練)
 「むせやすくなったと気になる方は試してみましょう!」

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rehabilitation/enge-kiso.html

 (健康長寿ネットより)

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