92歳の母ことで相談します。
左足ふくらはぎの打撲による浮腫で入院中に、腎臓がんが見つかりました。
高齢なので治療はしないで、医療用麻酔による緩和ケアを受けています。
しかし、入院直前まで一人で自立した生活をしていたことから、現状を受け入れることができず、ストレスにより食事量が一気に減りました。医師から、衰弱を防ぐために中心静脈栄養を勧められて承諾しました。並行して食事も提供されていましたが、1ヶ月後に急性十二指腸潰瘍になり吐血しました。食事を止められ、2週間後に療養型病棟に移動し、現在に至っています。
寝たきりですが、中心静脈栄養によりる高カロリー輸液だけで数か月になります。何も食べていないので、ずいぶんやつれてきましたし、せん妄症状もでて、夢とうつつを行ったり来たりしています。しかし、痛みを訴えることなく、ニコニコと笑いながら、支離滅裂ですが会話はできます。そんな母も、やがて意識レベルが低下し、深い眠りに入ったらその先は延命治療になると思うので、輸液は外してもらいたいと思っています。輸液を外すことは問題ないでしょうか。そのタイミングは、どのようになったときでしょうか。高齢でがんがあり、中心静脈栄養だけで、あとどのくらいの生存が可能でしょうか
(60歳代 T子さん)
お母さんとの良好で深い関係はよくわかります。病状について心配し、予後をお聞きしているのもよくわかります。
たしかに難しい判断ですね。一人で自立した生活をしていた方にしては、ストレスのたまり方が少し大きすぎるので、 病院のメンタルケアが不足しているような印象も受けます。寝たきりで意識もはっきりしていないようですから、状態は終末期的になってきているように感じます。がんの進行状況によっては、中心静脈栄養だけでも予想以上に寿命が長くなることもあるかもしれません。
現在の状況からは、中心静脈栄養の「中止」は困難と思われます。感染による発熱やその他、何らかの理由で点滴を入れなおす必要性が生じたときに、「もう、新たに点滴をすることは止めてください」ということは可能と思われます。余命など予後については、主治医に単刀直入に聞いてみてはどうですか。
豆知識
中心静脈栄養法
太ももの付け根や鎖骨の下にある静脈から、心臓の近くの太い静脈まで管を入れ高濃度の栄養を注入する方法です。
ポートと呼ばれる直径3センチほどの機器を皮下に埋め込んで、注入時だけ針を刺す場合もあります。