コロナがなければ最期の看取りをもっと充実させられたのではと……
遺族アンケート
82歳夫/看取った人・妻/東京都練馬区/2021年回答
2020年初めから、コロナ肺炎に悩まされ、重度障害者の主人は体温調節できませんでしたが、コロナのためヘルパーさん・訪問看護師さんの来訪ならず緊張の日々でした。5月のゴールデンウィークが明け、呼吸困難になり病院へ……「呼吸器つけますか?」と聞かれた時、妻(私)一人の判断で「お願いします」とすぐに返事をしました。2週間後に呼吸器は外れましたが、その後2か月面会もできませんでした。退院後に「再入院して体力回復をしてもらおう」と本人に確認すると「自宅にいたい…」と。主治医の先生にも当初からこの会に入会している旨を伝えてあったので「奥さん、自宅で介護を」と言われていました。が、いざ苦しそうな主人の様子をみると、判断できないでいました。障害生活22年、自宅介護18年間、老々介護二人だけ(もちろんヘルパーさんや訪問看護師さんの協力も大きい)の生活でした。3年位前までは電動車椅子を駆使して、一人で散歩していた主人でしたので、四肢麻痺の障害者としてはよく頑張ってくれたし、私に思い出も作ってくれました。
早くから協会への入会を希望していたことなので、本人も納得した最後で良かったと思います。それでも私としては今も後悔することが多く、寂しく思っています。コロナがなければ私が介護することができ、入院の際に介護内容も充実させられたかと思うと……。重度障害者でしたので、さぞ大変な忙しさの中、介護士さん、医療関係の方々に大変お世話になりました。
早くコロナが収束されますよう祈るしかありませんが。長い間、ありがとうございました。
協会からのコメント
全世界でコロナに感染し死亡した人が、報告されただけで690万人と言われて改めて感染症の恐ろしさを感じ、その影響の大きさを考えさせられる2020年からの3年間でした。コロナ禍での厳しい感染予防対策と医療施設の面会制約の中、介護も看取りもできなかったと悔やむ気持ちはどこにもぶつけられないものかもしれません。国民のみんなが堪えたことだからといって「私」が納得できるものでもないでしょう。
たとえ目を合わせるだけでも安らぎと喜びにつながると思います。たとえ苦しんでいても、「手」をかけることで少しでも楽になったり落ち着いたりする様子を見て、安堵し満足を感じることができます。
そうした大切な時間をコロナ禍で失くしてしまったことは「寂しくつらいことだった」「泣きました」「苦しかった」と「小さな灯台」に記録として残しておきましょう。
次世代の誰かが「そうだったんだね」と知り、理解してくださる日のために。癒されない日々の中、投稿してくださりありがとうございました。共にご冥福をお祈りしております。