突然の腸捻転からの看取り

遺族アンケート

93歳おば/看取った人・姪/滋賀県/2022年回答

2020年5月頃から嚥下機能が低下し(2017年12月~有料老人ホームに入居)、プリン、ゼリー状の物しか食べられなくなりました。それでも、痩せてはきても、面会に行く度に元気な顔を見せてくれていました。2022年9月7日に「数日お通じがなく腹痛を訴えているので病院を受診する」という連絡があり、病院にかけつけることになりました。遠方のため病院に着く前に医師から電話で「腸捻転を起こしていて、発症から時間が経っているので腸の一部が壊死している。93歳という年齢では手術の適用にはならない。内視鏡で整復を試みるが、うまくいかない場合は看取りの方向で考えてよいか?」と言われました。そこで、貴協会に入会していることを伝え、緩和はできるだけして延命措置は不要の旨お願いしました。結局10日間頑張りましたが、天国に召されました。まだまだ大丈夫と思っていたのに急な発病でしたが、本人の意思を知っていたので迷うことなくDNR(注)を選びました。自分の意思に反して延命措置をされないためにも、家族に罪悪感を抱かせないためにも、リビング・ウイルを宣言するのは大切だと思いました。

編集部注:
DNRはDNARと同じ意味。Do Not Attempt Resuscitationの略で、蘇生(Resuscitation)を試みない(Do Not Attempt)のことです。医師から、高齢者の心臓や呼吸が止まった時に心肺蘇生を行わないという本人やご家族の意思を示すものとして、DNARの同意を求められることがあります。

協会からのコメント

本人がリビング・ウイルを伝えていたため、周囲の方は罪悪感や後悔を抱くことなく最期をどう締めくくるか決断できたのだと思います。

嚥下機能の低下→食欲の低下→腸機能の低下が意味しているのは「食べられなくなったのではなく、身体が食べる必要がなくなったのだ」と説明してくださる医師も近年多くなりました。社会全体に「それが自然なことだ」と、当たり前のこととして受け容れる意識が育ちますように。そして、DNARすることに罪悪感を抱かせない社会になりますように。ご冥福を心からお祈りしております。