これぞ緩和ケアの神髄!
遺族アンケート
79歳夫/看取った人・妻/東京都/2024年回答
夫は肺がんを患っていました。2年3か月で急性肺炎により永眠いたしました。
主治医と緩和ケア医師の2名の方にお世話になっていました。外来での都度都度の説明、処置ともに緩和ケア医師の方は本当に優れた方でした。患者は医師に対し遠慮してしまいます。嫌われたらどうしようと思うからです。でも、この医師は違いました。どんな内容でも一生懸命相談にのってくださいました。こちらの気持ちを否定することなく、穏やかに聞いてくださいました。緩和ケアから帰って来た日は「先生とお話をすると心が安らぐ、ほっとする」と毎回申していました。
看護師からも心温まる対応をしていただきました。これぞ緩和ケアの神髄だと思います。
結果的には最後となった入院日から5日目に亡くなりました。肺炎になり、日毎に衰弱していき、いわゆる延命をどうするかということを考える時間の余裕はなかったです。でも、本人は日頃からリビング・ウイルの会員だということをお守りのように大切にしていました。心のどこかで安心していたのだと思います。
いかなる準備をしていても最後どのような形で亡くなるかわかりません。しかし日頃のこの「お守りを持っている安心感」が、本人に大きな安らぎを与えていたことは間違いありません。入会していて本当に良かったと思っています。ありがとうございました。
協会からのコメント
エンドオブライフ(人生の最終段階)の患者家族の気持ちと、そして安心を得るために必要なことが、緩和医療(ホスピス)を経験したことのない人々にもよく伝わる「看取りのエピソード」です。
「患者は医師に対し遠慮してしまいます。嫌われたらどうしようと思うからです」……これは誰もが思うことです。患者はいつも医師の顔色を見て「自分の病気はどうなんだろう、医師と良い関係を作って自分に最適な治療を受けたい」と、どんなに体調が悪くても心を砕いています。それを改めて教えていただきました。
信頼される医療者とは、患者の言葉を否定せず、穏やかに耳を傾けてくれる姿勢をもつ人だと感じさせられます。そのような医師の言葉や態度に患者は、「話すと心が安らぎ、ほっとできる」と安心感を覚えます。そうした関係を、医療者と患者がともに育んでいくことが大切なのだと、納得させられます。
信頼のおける医療者と出会い、リビング・ウイルがお守りのように安心感につながったのでしょう。
ご冥福を心よりお祈りいたします。