胃ろうを勧める医師との「対話」で守った夫の願い
遺族アンケート
89歳夫/看取った人・妻/東京都/2024年回答
コロナ感染のため、救急車で入院。2週間の治療後、一般病棟に移されたが、口から食物を食べられない状態になっており、医師から胃ろうを勧められた。この時点でリビング・ウイルの話をして本人も家族全員も、それを望まないと伝えたが、すぐには受け入れられず、一週間後の面談でようやく要望をかなえてもらえた。入院後はじめて面会もでき、意識のはっきりしているうちにお別れができた。点滴もはずして3日後安らかに永眠した。
協会からのコメント
ご家族がリビング・ウイルを話し合い、よく理解し、それを伝える努力をして実現できた「看取りのエピソード」です。ご本人はもちろんご家族の覚悟が伝わってきます。
1週間後、再度の面談を経て、ご家族の理解と覚悟が明確なことを確認できたからこそ「胃ろうをしない選択を医療者も受け入れることができた」と思います。
それほどまでに「助けようと思えば助けられる手段を知りつつ断念する医療者の苦悩」も察したいものです。まさしく医師と患者と家族、お互いに真剣勝負なのですよね。
胃ろうを勧める医師との「対話」で夫の願いを守り切ることは、大変な勇気です。でも、その勇気が「面会もでき、意識のはっきりしているうちにお別れができた」ことにつながったのだと思いましょう。
心よりご冥福をお祈りいたします。