自宅での看取りは叶わなかったけれど。

遺族アンケート

日本尊厳死協会には家内が先に入会し追いかけるように私も入会いたしました。2人とも最期は自宅で迎えようと子供達も含め、日頃から話し合っておりました。年齢からして私の方が先に逝くと言っておりましたが、…昨年の暮れにかかりつけ医の勧めもあって病院に入院することになりました。入院から亡くなる迄約2ヶ月程でしたが、その間子供や孫達が入れ替わり立ち替わりベッドの側に居てくれて淋しい思いはさせず済んだことは何よりでした。また、病院では担当の先生や看護師さんには、本当に親切にしていただき感謝しております。
亡くなる当日の深夜、病院から電話があり、私が入浴中でしたので、長男が電話を受けてひと足先に病院に行ってくれました。私は1時間程遅れて病院につくと家内は酸素マスクを付けておりました。先生や看護師さんから「ご本人とは会話は出来ませんが、こちらの話はわかってもらえるからなんでも話してやって下さい」と言われ、看護師さんが、「ご主人が来てくれましたよ!!」と言ってくれた時は眼に大粒の涙をためて私の顔をジッと眺めておりました。その後、子供や孫達が順次集まって来て全員で最期を看取ることが出来ました。2日前病室で家内と2人になった時、「私は本当に幸せでした」と言ってくれた言葉が最期になったようです。
ご質問に関係のないことを長々と書いてしまい申し訳けありません。リビング・ウイルのことは女房と2人でよく話しあっていましたから、これからは1人暮らし、皆に迷惑をかけないよう一生懸命生きて行こうと思います。

協会からのコメント

リビング・ウイルが果たす、ひとつの幸福な看取りのモデルケースです。リビング・ウイルについて、最期は自宅でと日頃からご夫妻で、お子様たちをふくめ話し合ってこられたご家族の豊かな関係性がしみじみ伝わってきます。奥様からの『私は本当に幸せでした』の言葉や、ご主人の到着を知らされて大粒の涙をためてじっと見てくれたなど、最期がご自宅ではなかったけれど、お子さんやお孫さんたち全員に見守られるようなホスピスでの手厚い看取りに、先立たれた奥様の感謝と満足感が伝わってきます。聞こえていないように見えても、わかるから、何でも話してと助言してくださったこと、本当に良い医師と看護師です。配慮のある看取りを経験できたことが良かったと思います。これからも会員の皆様のおひとりおひとりの”良かったと思える看取りの経験”を集めて、どのような配慮や環境が私たちの希望する”安らかに命を閉じる”ことなのか体験談の中から伝わるように努力して参ります。これからのお一人暮らしを『一生懸命生きていこうと思います』という真摯なお気持ちにも、しっかり寄り添える協会でありたいと思います。あらためて、奥様のご冥福を心からお祈り申し上げます。