救急搬送の現場で尊重された妻のリビング・ウイル
遺族アンケート
84歳妻/看取った人・夫/静岡県/2024年回答
妻は夕方に自宅で倒れて救急車で運ばれ、そのまま入院となりました。直後に、病院から呼び出されて、医師が「万一のことがあった時のために聞いておくが、いろいろな延命処置を講じる必要があるときに・・・・」と言い出したので、「妻も私も『尊厳死協会』に入っていますので・・・・」と答えると、「それなら了解。簡単だ」と言って病室に戻って行かれました。
その4日後の早朝に、私の看取りが間に合わぬまま、妻は急性心筋梗塞で急逝しました。
急逝直前の状態について医師は「苦しまなかった」と話していただきましたが、正確なところはわかりません。ただ、尊厳死協会に入会させていただいたことにより、何も延命処置がされなかったことを知りました。貴協会に入会の旨を告げただけで生前の妻の意思がスムーズに理解されたことをうれしく思っています。
協会からのコメント
まさに、救急搬送時や入院時に、医師から最初に「DNAR(注)(蘇生措置拒否)の希望はありますか」と確認される場面ですね。
ご家族が「尊厳死協会の会員です」と伝えたことで、医師にすぐご本人の意思をご理解いただけたことは、大変意義深いことです。今後は、どの医療機関でも同じようにリビング・ウイルが尊重される対応が広がっていくことを願っています。それこそが、私たち尊厳死協会の理想であり、目指すべき方向です。
このような場面は、普段健康に暮らしている時には、なかなか想像できるものではありません。しかし、誰もがある日突然、救急搬送や緊急入院という状況に直面する可能性があります。その際には、医療現場でDNARの意思確認が行われることが少なくありません。
このエピソードは、そのような現実を多くの人に知っていただくうえで、とても貴重な「看取りのエピソード」です。
尊厳死協会のリビング・ウイルが、その一瞬の大切な場面で確かな役割を果たしたことが伝わるご投稿でした。貴重な体験をお寄せいただき、ありがとうございました。
【編集部注】
DNARとは、「Do Not Attempt Resuscitation(心肺蘇生を試みない)」の略で、心肺停止時に心臓マッサージや人工呼吸などの蘇生処置を行わないことを指す医療指示です。回復の見込みがない状況で、患者の尊厳を守り苦痛を長引かせないための事前の意思決定として用いられます。

