コロナ禍の看取り 苦心の「看取りのエピソード」の数々

“コロナ禍”でのさまざまな制限

2021年以降のご遺族アンケートからは、コロナ禍の感染対策が看取りの現場に大きな影響を与えたことをうかがい知ることができます。医療機関や介護施設は面会も外出も原則禁止。「家族に会えないまま最期を迎えてしまった」と後悔。「自宅でと願っていたのに病院

からの電話だけの対応で」と不安を抱いていた様子が如実に物語られています。

看取り方を模索する医療ケア職たちの姿

私たちが「最期は幸せでありたい」と希望することは、憲法によって保障された「幸福追求の権利」です。時代の変化、価値の多様化、コロナ禍のような災害時ですら守るべきものであり、それが人間らしさです。医療ケア職者は、その「人間の尊厳」を守ることを使命とする職業だからこそ、制限された環境でも、感染対策をしつつ希望の最期を迎えさせてあげたいと奮闘しています。

その最期に「何もしないで」と家族に希望された場合、それに対して「たとえ96歳であろうと助けられる命を前に、それをしないというのは……」という苦渋する医師の姿もあり。一方「枯れるようにいく方が身体は楽、むしろ自然なのだ」と理解して、寄り添い見守る医療を実践する医師もいらっしゃる。今の時代のありのままを「小さな灯台」は、ここに記録としてお伝えしておきたいと思います。