遺される者のために全てを書き残してくれていました

遺族アンケート

84歳夫/看取った人・妻/東京都/2021年回答

私どもは以前から夫婦で貴会に入会しておりました。主人は9月25日に心不全で急逝いたしましたが、生前70ページに渡る自分史をパソコンで写真をまじえて書き上げ、私に読んでみてと見せてもらった矢先の出来事でした。その冊子の後方のところの「医療と介護」の覧に尊厳死についての項目がありました。

もしものことがあった時の終末期医療は、
〇私の代わりに判断してもらいたい人 第1順位 妻 
〇告知について全ての情報を隠さずありのままに教えてほしい
○余命わずかになった時の治療・過ごし方
痛みを伴う病の場合(例 ガン)痛み止めのみの治療、効果がない場合は鎮静剤投与で意識を失わせてほしい。緩和療法で死期が早まっても良い
〇人工呼吸器はつけない
○自分で食事ができなくなった時
中心静脈栄養や胃ろう、長期の点滴は受けたくない(食べられなくなったら終わりです)
〇心臓マッサージなどの心肺蘇生はしない
○脳死状態で、回復の見込みがなく死期が迫った時の延命処置
日本尊厳死協会に入会しています。「会員証カード」と「宣言書」があります
○認知症になって自分で希望する医療の判断ができなくなった場合も妻にまかせる
○臓器提供・献体について 希望しない
○自宅や外出先で心肺停止になった場合
救急隊の方に「心肺蘇生を望まない」。かかりつけ医とも相談済で了承している等々書き残しています。

この件は生前何度も聞いていましたので、救急車で病院に運ばれる際や、病院到着後担当医師にその旨を申し上げると、すぐに聞き入れていただけました。具合が悪くなってから50分で死を迎えました。もし尊厳死協会に入っていなかったら、私はもう少し乱れ、医師に「何とか助けて!」とお願いしたかもしれませんが、この事態を冷静に受け止めることができ、主人の思っていた通りの対処で静かに息を引き取りました。入会していて本当に良かったと思いました。ありがとうございました。私の場合も2人の息子にこのことを引き継いでもらいたいと思っております。14日は主人の四十九日です。これも何かのご縁かとペンを取りました。

追記
この他に主人の「書き残し」として、遺言書はもちろんのこと(自筆遺言書を法務局に届出済)、斎場の事細かな段取りまで自分の死後の始末の仕方が書かれていました。お墓は50年前自宅近くのお寺に墓地を購入。ところが我が家の孫3人は女子のため、ゆくゆくは家の跡取りはどうなるかわからず、若い者に迷惑をかけるかもしれないので、昨年同寺で永代供養墓ができた折、更地の墓地と交換してもらったばかりでした。「財産と管理」の項には金融関係、保険、クレジットカードの届出先、公共料金引き落としの名義変更、銀行名、口座番号、電話番号から金額まで全て一覧表にしてあり、残された者がそれを見れば一目瞭然でとても助かっています。この世にやり残したことがないと思ったのか、あっさりあの世に行ってしまいました。今はやらなくてはならないことが山積しており、悲しんでいる間がありません。早くゆっくりできる日が来ることを望み、その時は主人との思い出にひたりたいと思っています。

協会からのコメント

鮮やか!! お見事です。素晴らしい人生の締めくくりを「看取りのエピソード」としてご紹介できることは「小さな灯台」の誇りであり、やりがいです。

「やればできるのだ。実際にやっておられる人はいる」という自信を深めながら「小さな灯台」を継続していく力にさせていただきます。四十九日を区切りにと、投稿していただき本当にありがとうございました。まだまだご多用の折、くれぐれもご自愛ください。