遺言ノートのおかげ

86歳夫/看取った人・妻/神奈川県/2023年回答

本人は少しずつ弱ってまいりましたが、亡くなる直前までは本人が一人で病院に伺っており、医師にはかなり前から伝えていたと聞いておりました。

毎日夫から朝Telがあるのですが、当日の朝は初めてTelがなかったので、夫の部屋にかけつけたところ洗面台の前で倒れており、すでに体も冷たくなっており、眼鏡が遠くに飛んでおりましたが、傷は目のわきが赤くなっているだけでした。

入会は2000.4.21、夫婦で説明を聞き、入会いたしました。故人は大手メーカーに勤め、本人の希望通りパナマ、アメリカ、オーストラリアの4都市に駐在し、家族共々楽しみました。亡くなる4年前に“遺言ノート”を買い求め、2年前から具体的に必要なことはすべて書き残してくれたので、主人の思い通りの形で葬儀、散骨を済ませることができました。葬儀に関しても、連絡してほしい先のTel  No.も、香典をご遠慮することも。私、娘二人とその夫、孫にもそれぞれに「皆のおかげで本当にすばらしい人生を送れたことの感謝」が残されており、参列してくださった方々から“本当に良い葬儀でしたね”とおっしゃっていただきましたが、私はほとんど憶えておりませんでした。

遺言ノートがあったので、娘たち夫婦がすべてを取り仕切ってくれ、私自身は当時のことはあまり記憶がない状態で、少しずつ思い出し、私もそろそろ準備しようと考えるようになったところでございます。長患いはしたくないとも書き残しておりましたので、希望通りの人生で、主人は悔いはなかったと思うようになりました。尊厳死協会に入会しておりましたのも、一つの安心につながっていたように思い感謝しております。ありがとうございました。思いのままに記し、雑文となり申し訳ございません。

「亡くなる4年前に“遺言ノート”を買い求め、2年前から具体的に必要なことはすべて書き残してくれたので、主人の思い通りの形で葬儀、散骨を済ませることができました」と。

突然亡くなり、気持ちが動転している中でも、ご本人の意思通りに滞りなく進めることができた、見事な「看取りのエピソード」です。

誰もが、しなくては……と言いながら、誰もが、なかなか実践できないことですが、ご遺族にとってこれほどの慰めはないのだと、多くの人々に知らせることができるのは「小さな灯台」の誇りです。

心からのご冥福をお祈りしております。くれぐれもご自愛ください。