心臓マッサージをいつ止めるか

遺族アンケート

93歳父/看取った人・娘/長野県/2024年回答

施設で急変して救急車で病院に運ばれましたが、結局処置のかいなく死去いたしました。心臓マッサージをずっとしていただいていましたが、それをいつ止めるか、回復の見込みがないので止めて良いか、と医師に聞かれました。止めると死亡ということになりますが、私の判断で止めてよいのかとても迷いました。

でも、リビング・ウイルのことを思い出し、医師に伝えました。リビング・ウイルがなかったら判断を下した後も「これで良かったのか」とずっと後悔し続けたかもしれませんが、おかげでこのことに関しては後悔なく父の死を受け入れることができました。

普段から「不要な延命処置はしないでほしい」と本人から聞かされていましたが、いざそういう立場になってみると、家族が(家族だからこそ)判断を下すのは心情的にとても難しいと感じました。
なので、本人が書いた書面リビング・ウイルの存在はとてもありがたかったです。いつも優しい父でしたが、最後まで、そして今でも父の愛を感じることができています。父自身もリビング・ウイルのおかげで安心して暮らせていたことと思います。尊厳死協会の皆様には大変お世話になり、本当にありがとうございました。

協会からのコメント

施設の入所時にご本人のリビング・ウイルがもっと重みをもって受け止められ、その後のACPの対話がなされていたら、93歳のお父様の急変時に救急車を呼ばないで対応できる施設だったら……と残念に思います。そうしたら心臓マッサージをいつ止めるか? という迷いも悩みもしなくて済んだのにと。

と同時に、その局面にたたされたご家族が決断を下すために「本人が書いた書面リビング・ウイルの存在はとてもありがたかった」という大事なキーポイントがよく伝わる「看取りのエピソード」です。

多くの人に参考にしていただけますように。ご家族の皆様のご健勝をお祈りしております。