認知症になった夫に代わり「どうか自然のままに・・。」
遺族アンケート
①食事の量がだんだん少なくなり、体力が落ちて寝る時間が多くなったので、脳神経外科病院に3週間入院、リバビリなどを経てある程度回復して退院。
②家では、また食事をとらず寝てばかりなので、かかりつけ医のクリニックの医師に点滴に通ってもらう。しかし、点滴の針もささりにくい状態となり、食事もとらないので。
③S病院に入院。そのとき医師から(血液検査の結果をみて)「もう、点滴をしなかったらあまり長くはないでしょうが、点滴はどうしましょうか」と言われた。私は「もう、結構ですので、どうか自然のままにお願いします。」と言いました。そのとき、尊厳死協会員であることを話し、本人も家族も了承していることを伝えました。先生はうなずいて「わかりました。苦痛や不安が軽減できるように援助します。」といって下さり、私はとてもありがたく思いました(その後、一週間でおだやかに逝きました)。延命治療をしない(点滴をやめる)ことは、本人も妻である私も早くから決めていたのですが、その時期になると、本人は認知症がひどくなっていて、自分の口では言えません。妻の私も自分の方から「もう、ここらで…。」とは、なかなか言えません。先生のほうから言って下さったのでとても助かりました。③の病院は初めての受診でしたが、良い医師にめぐり会えたことを本当に嬉しく思っています。
協会からのコメント
ご家族はリビング・ウイルを理解し無理な延命はしないと決心していても、その場になるとなかなか言い出せない情況が良く表現されています。 家族に終末期であることを伝え、リビング・ウイルの意志を確認、治療の意向を聞きだし「わかりました。苦痛や不安が軽減できるように援助します」と言っていただけた時のご家族の安堵感が良く伝わってきます。だからこそリビング・ウイルを受容して医療的にも対応していただける”リビング・ウイル受容協力医師”が必要なんですよね。尊厳死協会ではリビング・ウイルを受容してくださる医師”にお願いして協会に登録していただく”リビング・ウイル受容協力医師登録制度”に1995年から取り組んでいます。大切な人を看取られた会員の皆様の経験を社会に還元していけるように、これからもご一緒に努力を続けてまいりましょう。