医師に宣言書をお見せしても受け入れてもらえませんでした

遺族アンケート

96歳父/看取った人・娘/東京都

先生から病気の説明と治療の方針をお聞きした後に、本人の意志、家族の気持ちをお話ししましたが、受け入れてくださいませんでした。次の日、宣言書をお見せして、ゆっくりとお話ししました。承知はされていませんでしたが「緩和ケアを希望されるのですね」とお話しになりました。

協会からのコメント

この短い投稿文だけからでは、病状の説明・治療内容が不明ですが、本人・家族が希望しない治療であったのだなという一般的な受け止め方はできるでしょう。あえて尊厳死協会の会員登録をしていたお父さまの意思表明(リビング・ウイル)、それを生かしたかった娘さんの意思表明が十分に生かされなかったという無念な思いが伝わります。医師は「緩和ケアを希望されるのですね」という理解の示し方をしたつもりかもしれません。また、治癒か、改善できる見込みがあって治療方針を説明したようにも推察されます。96歳と高齢であっても、QOLを考え、できる治療があったのかもしれません。

今、尊厳死協会には90歳代の会員様からの死亡報告が続いています。現在90歳代の方々は、第2次世界大戦の体験者です。戦地に赴かれた方、国内で疎開や空襲の混乱生活を強いられた体験をお持ちの方々です。自分の意思など表明する機会がなかった方々の「人生最後の意思表明(リビング・ウイル)」の受け入れ方として、医療者の言葉と態度にもっと深い配慮が望まれます。