尊厳死協会の存在こそが看取りの道しるべとして重要でした

遺族アンケート

84歳母/看取った人・息子/神奈川県

大変お世話になり、誠にありがとうございました。

母は30年ほど前から尊厳死について興味をもち、よく話を聞いておりました。20年前にパーキンソン病を発病し、長い闘病生活の間に幾度も尊厳死協会に入会していることを主治医(有料老人ホーム訪問医)に伝えておりました。入会は本人にとって安心につながっていたと感じます。

元気な頃、尊厳死に入会しているので、延命治療について知っているのかと思って話し合うと「わからない……」という答えが常でした。知らないということではなく、向き合うことができないようでした。それ故、母にとって尊厳死協会に入会することが、自分にできる唯一のことと思っていたのかもしれません。看取りの2週間は選択の連続でした。延命治療について知識としてあっても、実際の判断には迷うことばかり。

お世話になるホームの方、看護師、医師、家族の全員の気持ちの共有がとても大切でした。看取りのその時、たとえ本人のはっきりとした意思確認ができないとしても、本人の意向こそが、関わる全員の納得の選択になっていました。

そしてその本人の意向の確認、家族の選択の判断の道しるべが……尊厳死協会に入会していることでした。このことは事前にはわからないことでした。経験で気付いたことです。 言葉にはできない感覚的な多くのことが存在していました。

尊厳死は人それぞれ、家族それぞれの受け止め方があると思います。尊厳死協会の存在こそが、看取りの道しるべとしてとても重要でした。心より感謝申し上げております。

協会からのコメント

何が延命治療なのか、臨死期にどのような医療処置が必要になるのか、おっしゃる通り人それぞれ、その時次第です。子どもから母親の気持ちを察すると「延命治療について知らないというより、向き合うことができないということだったのでないか」とのこと。漠然としていて、曖昧な丸ごとの意思表明ということが現実なのでしょうね。それだけに尊厳死協会の考え方・姿勢が、大切な方を看取る時の道しるべになったと実感されたとのこと、私たちの励みにもなります。尊厳死は、人それぞれ家族それぞれ、まったくその通りだと思います。会員の皆様、お一人おひとりの経験を共にシェアしていくことの大切さをあらためて思い知らされます。貴重な経験を投稿していただき本当にありがとうございました。