看取り期に事前に知って準備しておきたいことは? −訪問看護師の方々に聞いてみました
看取り期になると、亡くなった後のことを考えた準備も大切になってきます。今回は、看取り期の家族やキーパーソン・代託者に指定されている人に事前に知って準備しておきたいこととして、訪問看護師は何を看ているのか? どんなアドバイスをしているのかをお伝えしたいと思います。
◎訪問看護師が看取る人にしているアドバイスは?
- 医療者が側にいない時、呼吸が止まっていたら?
→呼吸が止まっていて、呼んでも体をゆすっても2~3分反応が変わらなければ、担当の訪問看護師に電話しましょう。何をしたらよいかを伝え、在宅医に連絡を取ってくれます。 - 葬儀社にはいつ連絡したらよい?
→医師の最後の診察が終わって、死亡時刻が伝えられると、看護師が身支度を整えます。
そのころに葬儀社へ連絡しましょう。担当者が葬儀までの流れなどを説明してくれます。 - 親戚やご近所の人などにはいつ知らせたらよい?
→連絡後は、ひっきりなしの電話や訪問に対応しなければなりません。連絡は医師の最後の診察が終わり、故人の身支度が整い、家族の気持ちが少し落ち着いてからにしましょう。 - 葬儀社には何を伝えればよい?
→亡くなったこと、医師の最後の診察が終わったこと、葬儀を依頼したいことを伝えましょう。葬儀社の担当者と対面したら、いつ死亡診断書を受け取るか、身体に埋め込んでいる医療機器はあるかなどを伝えてください。信仰する宗教などによって葬儀の取り決めごとがある場合は、事前に確認して、葬儀社と身支度を整える看護師に伝えてください。 - ご遺体を安置する場所はどうする?
→一人暮らし、自宅にスペースがないなどといった場合は、葬儀社に安置してもらう方法もあります。自宅に安置したい場合は、弔問客などを招き入れやすい部屋、本人が好んでいた部屋などに北枕(頭側を方位の北側に向ける)で安置する場合が多いです。 - 自宅に安置する場合、ふとんはどうする?
→葬儀社が用意する場合もありますが、自宅にあるふとん1枚にシーツを敷いて用意しましょう。白無地にこだわる必要はありません。すぐに棺を選ぶため、あるもので十分です。 - 死亡診断書はいつもらえる?
→亡くなったその場で医師が渡す場合と、診察費の清算と一緒に指定の日時に主治医の医療機関に受け取りに行く場合があります。最後の診察の後に主治医に確認しましょう。もらえる死亡診断書は原則1枚です。さまざまな手続きで役所や必要な窓口に提出することがあるので、受け取ったら、まずは3~5枚程度コピーして手元に用意しておきましょう。 - 葬儀社はどうやって選ぶ?
→付き合いのある葬儀社があれば、そこに依頼するのがよいでしょう。心当たりの葬儀社がなければ、家族が勤めている会社の福利厚生などで利用できる葬儀社、自宅に近い葬儀社、希望を叶えてくれそうな葬儀社を探してみるとよいでしょう。できれば最期の時が近づいたら葬儀社選びを始めることをおすすめします。 - 使用していた介護用ベッドや車いすなどの福祉用具はどうする?
→ケアマネジャーに連絡しましょう。ケアマネジャーから各事業所へ連絡し、家族の都合に合わせた引き上げの対応を依頼してくれます。 - 使用していた酸素濃縮器はどうする?
→主治医または訪問看護師が、業者に連絡してくれるはずです。最後の診察か身支度の整えが終わったら確認してみましょう。 - 遺品整理や室内清掃などはどうしたらよい?
→家族ができない場合は専門業者に依頼する方法があります。費用などは業者によって異なるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
◎故人のそばで気持ちを整理する時間を大切に
今回、取材した訪問看護師の方々の多くが、ご遺族や代託者となられた方々へ看取り期に伝えたいことの共通した想いを語ってくださいました。
「最期を迎えると、どんなに覚悟して準備をしていたとしても次から次へといろいろな対応に追われます。その間は悲しむ間もなく、葬儀が終わった後に、深い悲しみに襲われることがあります。そのつらさが少しでも和らぐように、できるだけ故人のそばにいて気持ちを整理してください。自分の感情を押し込めないように、自分を大切にしてください」と。
が、一方で、「人の数だけエピソードがある」とも語っておられました。今後、地域性や個々人に合ったノウハウをお持ちの訪問看護師の方々にお話を伺い、訪問看護師が看た“看取りのエピソード”を紹介していけたらと思います。