リビング・ウイルは家族で考えるきっかけに
遺族アンケート
85歳義母/看取った人・嫁/千葉県/2022年回答
「最後は、延命をせず、自宅で過ごしたい」とリビング・ウイルを家族に見せながら話してくれました。言葉だけでなく、リビング・ウイルがあったことでうやむやにならず、家族も医師も納得し、意思を尊重できたと思います。最後の時、自宅で一緒に過ごす選択ができたのも、リビング・ウイルを通して、医師も家族も理解できていたからです。迷いがありませんでした。具体的には、延命のための投薬や病院へ送りこむのではなく、そっと、ろうそくが燃え尽きるまで苦しい思いをしないように、緩和の薬を選択し、見守ることができました。素晴らしい最期でした。本人の意思通り。
リビング・ウイルがあったことで、本人も話しやすかったと思います。日頃からの会話も大切だと思いました。元気な時は、自分の最後など考えたこともありませんでした。家族で考えるきっかけを作ってくださいましたこと感謝いたします。本人は、定期的に送られてきた冊子にも勇気づけられている様子でした。本人に代わり、御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
協会からのコメント
「言葉だけでなく、リビング・ウイルがあったことでうやむやにならず、家族も医師も納得し、意思を尊重できたと思います」というご家族の言葉に注目です。「最期は、延命せず、自宅で過ごしたい」という意思が尊重されるためには、ご本人が、希望をきちんと表明し、リビング・ウイルという文書にしておくこと。それが看取られる方・看取る方双方にとって共通認識をもつために、とても良いツールになるのだということを、もっともっと多くの人々に知ってほしいと思います。
元気な頃には「死んでしまうことなど考えたくない」、病床にあっても「死を話題にするのは縁起でもない」と話題を遮ったりしてしまうことが多いのが私たちの長年の風習でしょう。しかし、これからは違います。むしろ何気ない日常を過ごすことの幸せを、日々再認識するためにも、日頃から家族と「最期」について話をすることは大切なのだと、私たちに知らせてくれる「看取りのエピソード」です。その見事な「生きる姿勢」に心からの敬意をこめて、ご冥福をお祈りしています。