見習いたい! 見事な 〈人生のしまい方〉

遺族アンケート

95歳母/看取った人・娘/愛知県/2022年回答

キャリアウーマンだった母は定年の数年前に退職し、ボランティア活動に取り組みました。その一つが、一人暮らしのお年寄りに手作りのお弁当を届ける「ふれあい弁当の会」で、20年ほど代表を務めました。また、趣味が広く、市民講座や、歌舞伎やお芝居等の観劇に出かける折には、不測の事態に備え、いつも会員証、保険証、緊急連絡先を記したメモを携えておりました。3年ほど前に母が体調を崩し、3か月ほど入院し、退院と同時に我が家に同居となりました。その間主治医(かかりつけ医)に尊厳死協会の会員証を提示し、母の意志を伝えました。何とか元気に過ごしておりましたが、亡くなる1か月ほど前から急激に食欲、体力が落ち、亡くなる1週間ほど前に、食べ物も水分も受け付けなくなった時、医師から点滴はしないと告げられました。長尾和宏氏の著書、講演から、終末期においてそのような措置は病人を苦しめるだけで、枯れていくような最期が自然な死だと理解していたので、すぐに同意できました。母はそれほど苦しむこともなく、穏やかに逝くことができました。母が自分の人生の最期について、しっかりとした意志をもっていてくれたおかげで、周りの私たちも心の準備ができました。見事な人生のしまい方を見習いたいと思います。

協会からのコメント

まさに「知識は力」ですね。

「終末期における点滴は天敵。枯れて逝くような最期が自然な死」だという知識の啓発活動を、尊厳死協会のサロンや講演活動では続けています。その知識が看取る人の心の準備を整えさせてくれた「見事な看取りのエピソード」です。

模範的なモデルは、見る人、聞く人に、時に「そんなこと言われても……」と、反感を抱かせる心配もあります。しかし、「小さな灯台」は、自分で意思決定された方の良きモデルを紹介できることを誇りとして続けていきたいと思います。

ほら、ここに、こんなふうに、成し遂げた人がいると。私たちもやればできると。
90歳のキャリアウーマンだったというお母様の逝き方に心からの敬意をこめて、ご家族の皆様のご健康をお祈りしております。素晴らしいお母様の人生を投稿してくださりありがとうございました。