「延命はやめてください」と救急隊員を説得
遺族アンケート
87歳父/看取った人・娘/東京都/2022年回答
自宅で倒れ意識がない時、普段から「救急車は呼ぶな」と言われていましたが、訪問してくださる医師が見つからなかったため、やむなく救急車を呼びました。救急隊の方々へ必死で「本人は尊厳死を望んでいるので延命はやめてください」と説得したところ、よく理解してくださり、運ばれた病院の先生にもその旨を伝えてくださいました。病院で酸素吸入と水分点滴だけをしてもらい2日入院しました。その間、家でケアマネジャーさんたちに協力してもらい、自宅にひきとる準備をしました。病院の先生もこちらの意を汲んでくださり早めの退院の許しがでました。
自宅へ戻り2日目に亡くなりましたが、家で家族に囲まれ、できる限りのケアができたのが嬉しかったです。本人も意識がある時は、普段通りの朗らかな心持ちのようでした。
「自然に逝きたい」と常々口にしておりましたので、家族とも「ほぼほぼ本人の希望通りだよね」と話しております。本人がどのように逝きたいか、家族の理解があったからこそ、救急隊員さん、病院の先生、ケアマネジャーさん等を説得できたと思っています。リビング・ウイルが大きな助けになりました。ありがとうございました。
※救急隊員には口頭で、病院のスタッフには宣言書をお見せしました。
協会からのコメント
救急隊員の方が「尊厳死」をよく理解され、搬送先の医師に伝えてくれたこと。そして、家族が体制を整えて自宅で看取る決心をしたことで、本人の希望に沿った「自然に逝きたい」を実現できたという「看取りのエピソード」です。
この「看取りのエピソード」から、人は「ひとりでは死ねない」こと、必ず「自分の意思を実現してくれる人」が必要なことを、多くの人々に思い知ってほしいと思います。その人の意思を実現してあげようと総力を尽くす行為ほど、深い愛はないと思い至りましょう。
希望通りの看取りを実現するのは家族や周りの方の努力あってのこと、死に至る道のりは日頃の「愛を育てる日々」でもあるのですよね。そして「家で家族に囲まれ、できる限りのケアができたのが嬉しかったです」という幸せを分かち合う経験にもなるということも忘れてはならないポイントだと思いましょう。