嫁の立場では何も言えず

遺族アンケート

81歳義母/看取った人・長男の妻/三重県/2022年回答

本人は意思表示しても、認知がかかってきたり、家族の一部には受け入れられない人もいたりするので、本人の本当の意思はどうなんだろう? と、疑問に思います。子どもは少しでも長生きしてほしいと思うので、いろいろ治療したりセカンドオピニオンをお願いしたりと……家族でも嫁の立場からは何も言えないのでつらいです。最期は、本人も満足して亡くなったとは思いますが、家族との話し合いが必要!

協会からのコメント

「子どもは少しでも長生きしてほしいと思うので、いろいろ治療したり、セカンドオピニオンをお願いしたりと……家族でも嫁の立場からは何も言えないのでつらいです」と。この文中の「……」に「長男の妻」という立場の苦悩が物語られているのでは? と察します。

家族のはずなのに、家族のことに立ち入れない『嫁』という微妙な立場。客観的に「これは本人の意思ではない」とわかっていても、『嫁』が口に出せば軋轢を生んでしまう……このような家族感情が介護や看取りを複雑にしているように感じます。

医療・介護等の専門家は、判で押したように「ご家族でよく話し合ってください」と言いますが、「家族」だからこそ、論理的・客観的な「話し合い」ができないものですね。

親への感情の温度差と長い家族の歴史上の関係性が入り乱れて「言葉にできない苦悩」を抱えておられる「家族」は多いもの。むしろ、それが普通だと多くの看護師たちは受け止めています。

今、求められているのは「対立ではなく対話」なのです。家族の誰もが我慢ではなく素直な意見を、いつでも、どんなことでも言える社会になるには、まだまだ時間がかかりそうです。

それぞれ深い思いがあり、一番良い方法だと決め手になるアドバイス等があるわけではないのですが、ひとまず「本人の意思はどこにあるのか? 本人の意思を一番大切にしよう」という選択に基準を求めてみてはどうでしょうか?

そのためにも、認知機能が低下する前から早めに意思表示することの大切さを「小さな灯台」は繰り返し啓発し続けていきたいと思います。

さぞかし苦しい思いをされたことでしょう。くれぐれもご自愛ください。