胃ろうを拒否。日頃から話し合ってきたからこそ・・。
遺族アンケート
緊急入院して14日経過、ドクターより呼出しがあり、施設の看護師長が同席してくれましてドクターに会いましたら胃ろうをすすめられました。延命治療については平素より夫婦でよく話し合ってきましたので即座に拒否を申出て、持参していたカードを呈示しましたら「中々よい御判断です」と申され、すんなり受入れて下さいました。そのあと施設長、看護師長、訪問医が相談されて、重い決断をした私に、「せめてしばらく別れの時間を作ってあげたい」と、入居している施設の2人部屋に退院させて下さり、皆さん全力をあげて温かい対応をして頂きました。鼻からのチューブを抜くといい顔になりました。そして徐々に点滴もなくなり、せめてアイスクリームかプリンをの許可が出ましたが、あれだけ欲しがっていましたのにダメでした。お腹はぺしゃんこに、尿も出なくなり、手足はやせ細って自然死とか老衰とかは餓死なのだと教わりました。苦しいとか痛みとかはなく、しかし痰の吸引だけは声を出して辛そうでした。亡くなる少し前から心臓が弱っているとかで、少し荒い息使いをしておりました。4月20日午前3時すぎ息使いがピタリと止みましたので恐々起きましたら主人は昇天しておりました。主人は公務員生活の半分を福祉事務所に勤務し、定年退職後は成年後見人として働きました。70才頃から体調不良で72才で後見人を退めました。夫婦共、大阪淀川キリスト教病院でホスピスホームケアワーカーの講習をうけ、又、黑田輝政先生の「生と死を考える会」にも入会していろいろ勉強させて頂きました。入居して1年半主人は糖尿病の悪化、パーキンソンの進行、そこへ脳梗塞とあっという間に旅立ってゆきました。もう少し生きていて欲しかったです。でも胃ろうして生かされるのは本意ではありません。
胃ろう拒否夫と春雨聴きゐたり 孝子
春灯下黄泉路にむかふ夫を撮る 孝子
有難うございました。返信が遅くなり申し訳ありません。
協会からのコメント
定年後のご主人とともに命についての勉強を深めてこられ、人生の終末期における自己決定権の行使としてのリビング・ウイルを選択。その表現として、胃ろうを拒否なさった経緯を詳細に投稿してくださりありがとうございました。リビング・ウイルと言っても、その思い、経験はおひとりおひとり様々です。だからこそ、会員それぞれの体験事例は貴重です。協会の力になります。
添えられた歌とともにきっと、多くの方々の参考にしていただけるでしょう。心よりご冥福をお祈りしております。奥様もくれぐれもご自愛ください。