遺された人へのグリーフケアの会を開催してほしい

遺族アンケート

94歳母/看取った人・娘/東京都/2024年回答

尊厳死協会への入会については、私が 30代の頃、婚家両親の介護に携わっており、思うところあって私が入会希望であることを母に伝えると、母は烈火のごとく怒りました。そこで私は一旦自分の希望を封印しましたが、それから長い年月の間に私の父(医師)を家で看取り、その経験から母は自ら尊厳死協会に入会したという経緯がありました。

この度母のこのようなお知らせをすることになり残念です。前日まで元気でおりましたので、まだまだこの日常が続くと思っておりました。母を見送り感じたことを、次に記します。

▶医師について
救急搬送先の医師については、治療するよりも先に今後の受け入れ先の話を先行されたことでこちらは大変傷つきました。尊厳死協会の会員であることを伝えると会員証を持参するように言われ、その翌日、会員証を持参した時点では母の回復が見込めないという宣告を受けましたので、その場で帰宅させることにした次第です。その際、会員証の威力を感じることとなりました。人の生死に際してはいろいろな家族の反応があるでしょうし、中にはトラブルに発展する場合もあることに、現役の医師は不安もおもちなのだろうということがよく感じ取れました。

▶訪問医療・介護の方々について
それまでも大変お世話になりご信頼申し上げていたので、家へ連れて帰ることには躊躇はありませんでした。在宅診療所の先生は、帰宅後の母の様子を見に日参してくださり、看護の方々にも的確な指示をして、私どもの不安にも丁寧にお答えくださいました。例えば、昏睡状態の母に点滴を入れるとどうなるか、酸素をした方が良いか等、リスクも含めて、どこまでが治療でどこからが延命かということまで、家族の気持ちを尊重してくださり、本当にありがたいことでした。看護の方々も同様に心を込めて母の最期に寄り添ってくださったと感じています。ケアマネジャーさんはじめ多くの方のご助力と、尊厳死協会の会員証のおかげで、自然の摂理に沿った看取りができたと感謝しております。

▶母を看ながらの兄の看取り
母の死去の半年前、認知機能が衰えた母を看ながら、兄を自宅で看取りました。骨転移の痛みや味覚障害に苦しむ中、在宅診療の先生が、病院では取れなかった痛みを取ってくださいました。味覚障害についても亜鉛のサプリメントをご提案くださり、しばらく続けたことで食事の楽しみもまた出てきました。そして痛みが減ったことで、兄の居室で家族が揃っておやつを食べたりと貴重で濃密な時間を過ごすことができました。兄は尊厳死協会の会員証はありませんでしたが、無理な延命をすることなく、人としての尊厳を保って逝きました。

▶尊厳死協会に望むこと
自宅で看取りをするということは、死を迎える人を天国の門まで送ることだと感じています。そのことが度重なると、送り届けた門から現実へとなかなか戻ってこられなくなるようです。それに加えて、今まで介護や看取りに伴走してくれた方々が、ぱたりとおいでにならなくなったことで、家族の喪失感に加え仲間を失ったような辛さも重なり、残された者のグリーフケアの重要性を痛感することになりました。尊厳死協会の活動として、グリーフケアの会を開催、傾聴ボランティアの派遣などをご検討いただければ、今後の尊厳死協会の発展にもつながるのではないかと感じた次第です。今後の尊厳死協会の周知、発展をお祈り申し上げます。

▶母の最期
母は突然の不調で救急搬送され、脳梗塞と診断されました。主治医の話では手術をしても麻痺や意識障害が残るだろうとの見解で、私は厳しい手術は希望しないとお伝えしました。そのことを母に聞いたところ、ほっとしたように笑って「うんうん、いい、いい」と申しました。その後、脳幹以外に視床にも梗塞が広がり昏睡状態で治療の手立てが無いと宜告され、尊厳死協会の会員であったこともあり、退院して自宅に連れ帰ることができました。

それから8日間、訪問診療の方々や牧師様、ご友人、孫家族・姪・従弟妹たちにも会うことができ、母は平安のうちに天に召されました。母が旅立つ2日前のことでしたが、母が可愛がっていた18歳の老猫が急死したこともあり、私どもの悲しみは大きかったのですが、母は私どもが泣き疲れてお別れを受け入れるまで8日間も頑張ってくれたのだと思います。きっと愛猫に露払いをしてもらって天国の門に凱旋したのだと信じております。

これまで、母には親しきお交わりを賜り、本当にありがとうございました。衷心より御礼申し上げる次第です。

協会からのコメント

協会との関わりから、救急搬送されての対応、在宅での看取りへのプロセスがよく伝わります。

詳しくお知らせいただきありがとうございます。病院で大きな決断をし、在宅での生活を選び、理解ある医療者に巡り合い満ち足りた時間になったことと思います。

書いてくださっているように、大切な人を亡くされた人の誰もが感じる感情を和らげてくれるのがグリーフケアです。
【情報BOX】グリーフケア-大切な人を亡くした哀しみを癒すためにもぜひご参照いただければと思います。