一粒のいちご その人らしい最期を、そばで支えるということ

株式会社 アドナース(鹿児島事業部)
灯を継ぐケアマネジャーより

在宅での看取りとの関わり

 私はケアマネジャーとして仕事をする中で、在宅での看取りの場面に関わらせていただきました。看取りは特別な出来事ではなく、その方が生きてこられた人生を静かに見送る時間だと感じています。

 在宅での看取りに関わると、ご本人が慣れ親しんだ場所で過ごす安心感や、ご家族が最期の時間を共に過ごすための大切な時間を専門的にかかわる立場でもありますが、時には「こうしたらもっといいのに」と思う事もあります。

忘れられない姉妹

 数年前に乳がんを患ったご利用者様を実姉様が自宅で看取ったことがあります。統合失調症もあり、支援者の介入はもちろん、徐々に実姉に対しても受け入れが出来ない状況になっていきました。入院やショートステイの利用も検討しなければならない程、実姉は疲弊していきました。

 そんな状況が1年程続き、癌の進行と共にご本人の身体状況も悪化していきました。食事が出来なくなり、トイレまで行く事も出来ず、かといってオムツをつける事も拒否され、ベッドにペット用シーツを敷いて排泄をするような状況でした。

 私は「少し強制的にでも支援者の手伝いを受けてはどうですか?」と実姉に提案しましたが、返ってきた言葉は、

「ありがとうございます。今までこの子(ご本人)は家族の愛情も受けられず、ずっとひとりだったんです。私が結婚して家庭が出来てから本当の意味で孤独だったと思います。だから今は私が残された唯一の家族としてこの子を支えてあげたいと思っています」

 と涙ながらにお話して下さいました。
家族にしか分からない家族の関わり方を目の当たりにした瞬間でもありました。

 そこからは実姉の思う看取りをサポートするために主治医や訪問看護と連携して支援していきました。

 会話もほとんどなかった姉妹ですが、亡くなる1週間前にご本人が「いちごが食べたい」と言われ、一粒のいちごを食べることが出来ました。「ありがとう」その言葉を最期にご本人は息を引き取りました。

 実姉は最期まで「この子は幸せだったかな? もっと強引にでも何かしてあげたらよかったのかな?」と、言葉を口にされていました。私はその場で実姉のお話を傾聴することしかできませんでした。

 唯一出来た事は、かかわった期間にお二人の写真を撮り貯めておいたため、その写真をアルバムにしてお渡ししました。その写真を見た後に実姉が「楽しそうな頃もあったんですね。忘れていました。きっと天国に行けていますね」と笑顔でお話されたことがとても印象に残っています。

専門職として大切にしたいこと

 この経験を通して、看取りは決して医療や介護だけで支えるものではなく、ご本人やご家族の想いの中で形づくられていくものだと改めて感じました。
 制度や支援の枠組みだけでは測れない、それぞれの人生や家族のかたちがあります。
 だからこそ、私たち専門職は「どう支援するか」だけでなく、「その人がどう生きてきたのか」「どのように最期の時間を過ごしたいのか」に耳を傾け続けることが大切なのだと思います。

 これからの医療・介護には、在宅での看取りも含め、その人らしい最期の時間を地域全体で支えていく視点がますます求められていくと感じています。ケアマネジャーとして、ご本人とご家族の想いをつなぎながら、その人らしい人生の最終章を支えられる関わりをこれからも大切にしていきたいと思います。