本人の希望と家族の納得のバランス
遺族アンケート
76歳夫/看取った人・妻/神奈川県/2025年回答
夫は以前より狭心症の特病がありました。その後、パーキンソン病を発症していることもわかりました。大きな発作が起こり、2025年7月15日に総合病院へ救急搬送されました。その時の検査で、造血機能に障害があり、すでに終末期の状態であると伝えられました。
数回にわたって輸血を受けましたが、効果はみられませんでした。また入院先は急性期病院だったため、転院することになりました。(2025年9月10頃)
最初の病院でも、リビング・ウイルについて伝え、医師にも受け容れてもらえました。転院先の病院にも、夫が延命治療は望んでいないことは、きちんと伝えてありました。
ただ、転院先の担当医から、「これで何もしないで諦めてよいのですか」と尋ねられました。家族としても、もしできることがあるのなら、何かしてあげたいという思いが強くありました。
転院前は、もう輸血はできないこと、腕からの点滴だけでは、1か月ほどしかもたないと告げられていました。入院してから、あっという間に夫の状態が悪くなっていくことが私にはとてもつらく感じられました。
転院先の医師と相談した結果、輸血を再び続けていただけることになり、3回の輸血を受けることができました。また、点滴も中心静脈栄養注)に切り替えていただきました。その結果、夫は少し元気を取り戻し、会話もできるようになりました。親しい方たちにも会わせることができました。
しかし、病気の進行を止めることはできず、夫は10月30日に亡くなりました。 「延命治療は望まない」という夫の思いには、私たち家族は少しだけ反してしまったのかもしれません。それでも、家族みんなが納得できる形で見送ることができたと思います。夫も苦しむことがなく、穏やかに旅立つことができて、よかったと思っています。
本人の希望をかなえつつ、家族も納得できる形を見つけることは、とても難しいと思います。先生が家族の気持ちにもより添いながらアドバイスをくださったおかげで、私たちは後悔を残すことなく夫を見送ることができました。そのことを、とてもありがたく思っています。
亡くなってから、自分の気持ちを振り返る機会がありませんでした。そのため、とりとめもなく、長々と連ねてしまい、申し訳ありませんでした。
協会からのコメント
「延命治療は望まない」というご主人の意思と、「できることがあるならしてあげたい」というご家族の思い。その狭間で揺れ動くお気持ちは、ごく自然な愛情の表れです。輸血や中心静脈栄養によって少し元気を取り戻し、親しい方々と会話できた時間は、皆様にとってかけがえのないものとなりましたね。ご本人の希望とご家族の納得のバランスを丁寧に模索された過程は、多くの読者の参考になるはずです。つらい情況の中にもかかわらず投稿いただき、誠にありがとうございました。
編集部注)
中心静脈栄養とは、心臓に近い太い静脈(中心静脈)にカテーテルを挿入し、そこから高カロリーの栄養輸液を持続的に投与する方法のことです。

