救急車での対処、そして最期の選択へ
遺族アンケート
2週間くらい前から胸の痛みがあり、前日に退院したばかりでした。入院中は笑顔もなくなり、早く帰宅させたかったので退院し、これから元気になって欲しいと思っていた所でした。夕食前に苦しみだして排泄したそうだったので、何とかトイレに連れて行こうとしている最中に、意識が無くなり全く動かなくなりました。救急車が来た時にはもう呼吸が止まった状態で、救急車の中で「○○をしてもよいですか?」と聞かれましたが耳に入らず、ともかく同意すると、自動で装置が動いて人工呼吸をするようなもので対処されました。病院に着き医師の措置後、今後の対応を聞かれた時に、「尊厳死協会」に加入している事を伝えました。すぐに納得していただき、自然に呼吸が止まるまでの約30分間、私と妹、私の娘の3人でそばについて、話しかける時を持てたことは本当によかったと思います。
協会からのコメント
在宅での急変に救急車を呼び、呼吸停止の対処に「●●してもよいですか」と聞かれるのも、とっさに同意する流れも必要で自然なことです。その経過の中でも、尊厳死協会の会員であることを理解してくださった医師による対処がとても素晴らしいですね。
高齢者の生活と医療は、今後ますます『主に在宅・時々入院』の行ったり来たり、病院との連携が欠かせません。そのために今、多くの病院で看護師による“退院指導”が大事にされ努力が重ねられています。高齢の方が退院する場合は、➀今後起こるかもしれない症状と、②その時の対処方法などの説明が行き届いていたら、ご家族が慌てずに対処できるようになるかもしれません。またうまく対処できたという体験がそのご家族や近隣、地域の人々に伝わっていけば、高齢者ケアの地域力が増す可能性があるからです。退院するときはいつでも、遠慮なく担当の看護師に、➀と②の説明をご家族が求めて、理解できるまで質問し、安心を得て退院するようにしましょう。おひとりおひとりが、いざというときに慌てず対処することができるよう、私たちも広く伝えていきたいと思います。