一般社団法人シニア社会学会会長様から、小さな灯台に寄せてメッセージをいただきました。
コロナ禍の中の死
2019年12月武漢で初めての新型コロナウイルス感染者が見いだされてから3度目のお正月を迎えます。私たちは、新規感染者や重症者が何人いて、死者が何人いるかに一喜一憂する日々を送ってきました。そうした数字の背後には、一人ひとりの家族や生活があることを忘れ、感染者や重症者の増減を示すグラフに気を取られてきたような気がします。
私の友人に、昨年、母親を亡くした人がいます。母親はコロナ患者ではなかったのですが、たまたまコロナ病棟のある病院に入院したため、面会は禁止され、最期を看取ることができませんでした。それどころか、外部の人が病院に近づくのを恐れたのか、火葬場への同行も断られ、お骨になって戻ってきたため、未だに母親が亡くなったという実感がないとのことでした。
看取りもできないという理不尽な死をどのように考えたらよいのでしょうか。新型コロナの感染拡大は、人は通常ではない死に直面しなければならないこともありうることを教えてくれます。
一般社団法人シニア社会学会会長
お茶の水女子大学名誉教授
NPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長
袖井 孝子