NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長様から、小さな灯台に寄せてメッセージをいただきました

「小さな灯台」を応援します

もう30年以上昔のことですが、私は母の「臨終」と言われて親戚一同を呼び集めたのですが、3~4日経ても呼吸器の中で生きていました。母自身「いよいよとなったら無理しないで」と言っていたので「呼吸器を外せないか」と病院に申し出たのですが、もちろん却下。その後、私は意を決して、ハンドバックの健康保険証のケースに私の名刺を1枚はさみ込んでいます。「私、回復不可能、意識不明の場合、苦痛除去以外の延命治療は辞退致します」日付、署名、捺印、家族も了承と付け加えました。2014年1月の日付になっていますからこれを書いて10年近くが過ぎ去りました。この話は当時尊厳死協会季刊誌の記事にお取り上げいただきましたが、その後だいぶ年月を重ねたので後日談をご報告します。 

この名刺を書いて間もなく、私は大学附属病院の医師とシンポジウムに出席。この名刺を見せたところ「病院の中へ入ったらこんな希望は通らない」と一蹴されました。しかし時代は明らかに時を刻みつつ動いています。5年ほど前、私は講演待ちの楽屋で、医学界で高名な大先生に「こういうメッセージは有効だろうか」とお伺いをたてました。先生は長いことじっと名刺を読み返し「まずは大丈夫」とおっしゃってくださいました。

政府提案のACP(人生会議)はなんだか死に急がされる感じがあって100%賛成ではありませんが、自分の生と死について意見を述べるチャンスを大切に扱ってほしいと願っています。「小さな灯台」のご発展をお祈りします。


NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長
東京家政大学名誉教授

樋口惠子