主婦はエライ

遺族アンケート

91歳妻/看取った人・夫/神奈川県

先ず残された私が感じたことの第一は、女は弱いどころが強い。体調が悪いとはダウン直前まで気付かなかった。ただ、時々TVを見ていたと思ったらこっくりこっくり。疲れているんなら横になればと言うと、決まって「主婦は男性と違い横になった時は終わりよ」と。むしろ私が体調悪くし、その後復調。散歩などして帰ってくると手取り足取り面倒をみてくれていたのに。当日は「今夜は少し早くご飯にしてTVなど見ましょう」が最期。それにしてはそろそろだなと思ってTVを見ていた私ですが、何か静かだなとまあ虫が知らせたというか台所にきてみるとWCのドアが開いたまま横になっていた体に手を当ててみると手足は冷たい。あわてて救急車を呼んだら「お父さん、前からの約束でしょ。救急車は呼ばないで」と。頭をかすかにあげて意識モーローの状態でこうも言うか?(中略)

台所をみると、ガスもストップ、刃物もちゃんと納めてあり……。なぜ?? 未だに気持ちが動転しています。私も86歳です。らちあかず字もよく書けず申し訳ありません。

一言、主婦はエライ。かねてからの約束通り家族葬でしました。何もかも、任せきりの自分が情けなくて~毎日です。これからは私の番ですがどうぞよろしく。

協会からのコメント

なんと気丈に気配りをされていた方でしょう。「主婦は男性と違い横になった時は終わりよ」と言う言葉に91歳の奥様の“主婦の矜持”生きざま、見事さが良く表現されていると思います。「明治の女性は、決して昼寝などしなかった。髪も結わずに着物も着替えず食卓に着くなどありえなかった」などなど、今の時代には通用しない生活の心得・教訓の一つ一つが浮かびます。寂しさが募る日々にもかかわらず、筆をとり投稿していただき、本当にありがとうございました。何よりの奥様へのラブレターだと思います。

ことの良し悪しを越えて、実際にあったこととして、この「看取りのエピソード」をご紹介できることを「小さな灯台」の誇りとしたいと思いす。心からのご冥福をお祈りしております。