悩み、苦しみ、後悔しています
遺族アンケート
86歳妻/看取った人・夫/京都府
平成27年に介護3から始まり、最終的に介護5の認定を受け、平成29年4月に4回目の転院で、この病院に落ち着きました。入院時、主治医との面談で私たち二人は尊厳死協会の会員であり、延命措置は望みませんが、できるだけの治療処置はしてくださいとお願いし、了解を得ていました。
妻は認知症と肝性脳症末期とのことでしたが、その病院は介護が主で、何度か身体に異変があり苦しんでいる日もあり、見ている方もつらい日が何度かありました。
今回の転倒事故で頭部打撲傷の出血と腹部の内臓破裂による口からの出血で、大病院に行き手術をするか、口内の出血を吸引している現状で様子をみていくか、主治医から問われ、延命措置はしないと妻とはいつも話し合いをしていたのでこのままで様子をみてくださいと、決断しました。主治医も了解しましたが、それから約7時間後、息を引き取りました。
私一人の決断で決めたことを子どもや孫たちに伝えたところ、母はこれで長年の苦しみから解放され、良かったのと違うかと言われ、安心はしましたが、果たしてこれで良かつたのか、やはり私一人、悩み、苦しみ、後悔をしています。ですが、いつかはこれで良かったのだと、自分に言い聞かせる日が来ると思っています。
協会からのコメント
これで良かったのです。大切な人を亡くしたあとの喪失感を「悲嘆・グリーフ」といいます。
たとえどんなに正しい決断であっても「本当にこれで良かったのか? もし、あの時こうしていれば、あーしていれば……」繰り返し悔やむのも誰もが経験する「自然な感情のプロセス」です。尊厳死協会にご夫婦で会員になられていたこれまでの生き方が生かされた見事な対処の仕方だったと、むしろ奥様との約束を果たされたご自分を褒めて、認めて、誇りに思ってください。