やれることはやってあげられた

遺族アンケート

91歳母/看取った人・娘/北海道/2021年回答

母は特に持病がなかったのですが、施設に入る前に4年ほど我が家に呼びよせ同居しました。その間、大腿骨骨折や腕の骨折、腰椎圧迫骨折が続き、何度か入院した際は、先生に尊厳死協会に加入していることを告げ、受け入れてもらいました。1年前に施設で肺炎になり入院した先の病院で告げると、あまり良い感じで受けとってくれなかった様でしたので、翌日カードを持って行き見せるとわかってくれました。その頃は軽い認知症もあり、すでに身体も痩せて体力もなくなっている状態だったので、母の気持ちが変わってないのかちょっと心配になったことは正直ありました。母が協会に入ったのが、70代の元気な頃で、私に常々「何かあったら胃ろうや喉の切開などはしないでね」と言っていたのです。

肺炎の状態が落ち着いて施設に戻った時は、もう口から食事はとれない(誤嚥になるので)とのことでしたが「最低限の栄養点滴をする方法がありますよ」と、施設でお世話になっている訪問医の先生に言われ、それはやっていただき1年2か月ほど生きることができました。
コロナ禍で施設の訪問もできずに母はどんなにかつらいのではと心配しましたが、昨年の秋ごろ10分の面会がかなった時、久しぶりに話をすることができて、この選択が間違ってなかったと思いました。後半に痰が多くなった際、先生からもう少ししたら喉の切開を考えてはどうかと打診された時は、協会に入っていて母は望んでいないとしっかりと断ることができたのは良かったです。母もがんばり、私も心残りはありますが、やれることはやってあげられて良かったかなぁと思っています。以上です。

協会からのコメント

尊厳死の希望のリストの中で、口から食事がとれなくなったその時を区切りの一つにしてほしいと希望する方もあります。逝く人の希望だけでなく、看取る人の納得や満足も大切なことです。 

看取った方が「やれることはやってあげられた」と思えることは、逝く人にとっても何よりの慰めだと思います。お母様の希望通り、胃ろうや喉の切開を受けることなく過ごせたのは、本当に良かったですね。お母様のご冥福を共にお祈りしております。