最期に家で過ごした期間は、大切な時間だったと心から思います
遺族アンケート
73歳夫/看取った人・妻/千葉県/2021年回答
協会への入会は私の方が先でした。夫ががんと診断されてからすぐ私が協会への入会を勧めました。開胸手術、抗がん剤、免疫療法、放射線、胆のう摘出術(開腹)等の治療も功を奏さず、病院の主治医からは最後の望みとしての抗がん剤治療を提示されました。その時「治療をしなければ余命3か月」と告げられ、夫は治療を望みましたが、3か月の治療の後「これで治療は終わります。今後は緩和ケアです。また、余命も3か月ほどです」と。病院緩和ケア科と地域の在宅医療の連携にて、在宅での治療が約3か月、入院から10日目に旅立ちました。
がんの診断がなされてから約2年半、体はやせ細り、ボロボロになり、開胸手術、生きたい一心で厳しい治療を本当によく頑張りました。在宅医療が始まってからは投薬だけで点滴もなく、やっと苦しい治療から開放され、少し穏かな表情を見せ、家族にも感謝の気持ちを伝えてくれるようになりました。緩和ケア科に入院するまでは、少量ながら食事もトイレもシャワーも少しの手助けで自力ですることができ、この間、これまでのこと、今後のこと、家族で多くの会話の時間がもて、この時間が大切で大事で必要な時間であったと心から思います。夫と共に生きた49年間は、大切な年月であり、私からも夫への感謝の気持ちを伝えることができました。そして、これまで私たちを支えてくださった全ての方々にも、感謝の気持ちを伝えたいと思います。
私も持病がありますが、厳しい治療は望まず、最小限の治療だけで枯れるように命を終えることを望みます。また、親しい人々には、尊厳死協会の会員であることを伝えています。
返信が遅くなり申し訳ありません。乱筆、乱文にて失礼いたします。
協会からのコメント
できる治療を全て受け、終末期を緩和医療医と在宅医の支えで自宅で過ごし、自力で食べ排泄し、妻・家族にこれまでの感謝を伝えこれからの相談をする、そうした時間がもてること。「この時間が大切で大事で必要な時間」としみじみ感じ「ありがたい」と思えたこと。亡くなる前の大切な期間をこうしたことに費やせたことは、残された妻や家族の安心・満足・達成感につながり生きる糧になったと思います。
誰もができることでも、誰もが恵まれることでもありませんが、それを果たされたご家族があった事実を記録にとどめて、多くの人々の参考にしていただきたい貴重な「看取りのエピソード」です。